公開日: 2026.04.09 / 最終更新日: 2026.09.14

Bカート・CO-NECT・Shopify B2Bを比較|受発注の器の選び方

Bカート・CO-NECT・Shopify B2Bの違いを、月額ではなく回収期間の視点で整理。得意先数・価格体系・発注手段の現状から、自社に合う受発注の器を見極める判断基準を解説します。

大きさの違う三つの器を並べ、天秤を脇に置いて受発注の器を見比べている情景イラスト

先に結論を言います。得意先ごとの掛率や価格表が複雑で「卸売専用のECサイト」を持ちたいならBカート。FAXと電話でのやり取りそのものをデジタルに置き換えたいならCO-NECT。EC全体の販路戦略——小売向けの自社ECや将来の海外展開まで一つの基盤で見たいならShopify B2Bです。

そして選定の物差しは、機能一覧の丸バツ表ではありません。「毎月いくらの事務コストが消えていて、導入費用を何か月で回収できるか」。この一点です。財務の視点で見れば、月額数千円の差よりも回収期間の差のほうがはるかに大きく効きます。

三つのサービスは「同じ土俵」にいない

比較記事ではよく横並びにされますが、この三つは立ち位置が異なります。Bカートは「BtoB専用のECサイトを月額制で持つ」ためのSaaSです。公開されている料金は月額9,800円からで、得意先ごとに価格や決済条件を変えるといった卸売特有の商習慣に最初から対応しています。

CO-NECTは「受発注のやり取り自体」をデジタル化するツールです。サイトを構えるというより、得意先からの注文をWebフォームやアプリで受け取り、FAXで届く注文も取り込んで一元管理する発想です。公開情報では月0円からの無料プランがあり、受注側だけでなく発注側の業務にも対応している点が特徴です。

Shopify B2Bは、世界最大級のECプラットフォームに載ったB2B機能です。かつては上位プラン限定でしたが、2026年に通常プランへ開放され、中小企業でも現実的な選択肢になりました。会社単位の顧客管理や得意先別のカタログ価格を、小売向けECと同じ基盤の上で扱えます。プラットフォーム費は月数千円〜数万円が目安で、構築費は要件次第です。

価格の桁だけ並べても、公開情報の目安ではBカートが月9,800円から、CO-NECTが月0円から、スマレジEC(旧・楽楽B2B)が月75,000円からと、10倍近い開きがあります。ただしこの差は「高い・安い」ではなく、対応する商習慣の幅の違いです。安いカートと高いカートを同じ土俵で価格だけ比べると、判断を誤ります。

判断基準は三つで足りる

  • 価格体系の複雑さ:得意先ごとの掛率・数量割引・締め支払い条件がどれだけ入り組んでいるか
  • 発注手段の現状:注文の何割がFAX・電話で届いているか(得意先を動かせるか)
  • 将来の販路:卸売だけで完結するのか、小売向けECや海外販売まで視野に入るのか

価格体系が複雑で卸売完結ならBカートが素直です。FAX比率が高く、得意先に新しい操作を強いたくないならCO-NECTのような受発注特化型が向きます。販路が広がる見込みがあるなら、Shopify B2Bで器を一つにまとめておくほうが、後からシステムを継ぎ足すより総コストは下がります。

BカートCO-NECTShopify B2B
立ち位置BtoB専用のECサイトを持つSaaS受発注のやり取り自体をデジタル化するツール汎用ECプラットフォームのB2B機能
価格の目安月額9,800円から無料プランあり(機能・連携に制限)プラットフォーム費は月数千円〜数万円、構築費は要件次第
得意先別の価格・掛率標準で対応対応範囲はプランによる会社単位の顧客管理とカタログ別価格で対応
FAX・電話注文の扱い別途仕組みが必要取り込みに対応(特徴のひとつ)別途仕組みが必要
小売向けEC・海外展開卸売完結が前提受発注に特化同じ基盤で併設しやすい
向いている会社価格体系が複雑で卸売だけで完結するFAX比率が高く、得意先に新しい操作を強いたくない販路が広がる見込みがあり、器を一つにまとめたい
3サービスの立ち位置比較(金額は各社公開情報からの目安。最新プランは必ず各社サイトで確認)

表を見るときの注意点は、「対応している/していない」の丸バツで優劣を決めないことです。3つは目的が違うため、自社の受注構造(価格体系の複雑さ・FAX比率・将来の販路)に合うかどうかでしか正解は決まりません。

価格体系の複雑さ・FAX比率・将来の販路という3軸でBカート・CO-NECT・Shopify B2Bを整理したマトリクス図
3つの判断軸で見ると、各サービスの得意領域は重ならない

月額ではなく「回収期間」で費用を見る

簡単な試算をしてみます。受注1件の入力・確認に5分かかり、月1,000件を処理しているとすると、それだけで月83時間。時給2,000円換算で月16.6万円が入力作業に消えている計算です。ここから半分を自動化できるなら、月8万円台の削減効果になります。

この数字と比べれば、月額9,800円か3万円かという差は誤差の範囲です。むしろ「自社の受注構造で本当に半分を自動化できるのか」を先に検証するほうが、投資判断としては筋が良いのです。

どれを選んでも残る宿題——基幹連携と得意先対応

見落とされがちですが、どのサービスを選んでも「基幹システムとの連携」と「移行しない得意先のFAX・電話注文をどう処理するか」という宿題は残ります。ここを設計しないまま器だけ入れると、二重入力が発生して削減効果が半減します。

順番としては、器を選ぶ前に「移行しない得意先の注文をどこで受けるか」を決めておきます。Web発注に移る先はECへ、残るFAX・電話は読み取りで取り込み、最終的に基幹側で1本にまとめる——この全体像が描けていれば、どの器を選んでも二重入力は避けられます。逆に器の機能比較から入ると、この宿題が最後まで残ります。

FAX受注をAIでどこまで読み取れるかの精度や導入前の検証手順は、FAX発注書をAIでどこまで読み取れるかで解説しています。

比較記事が書かない、器選びの本音

最後に、各社のパンフレットや横並びの比較記事には書かれないが、決裁の前に知っておくべきことを正直に挙げます。

  • 「月0円だから」でCO-NECTを選ぶと、基幹連携やD2C併設が要る段になって作り直しになりやすい。無料は入口の話で、事務が本当に減るかどうかは別問題として検証が要る
  • スマレジECの月75,000円は「高い」のではなく、対応する商習慣の幅が違うだけ。得意先ごとの掛率や締め払いが複雑な会社ほど、安い器で始めて機能不足に突き当たる
  • 機能一覧の丸バツ表で選ぶと失敗する。器の優劣ではなく、自社の受注構造——FAX比率・例外取引の多さ・将来の販路——に合うかどうかでしか、正解は決まらない

主要な受発注SaaS・カートを一覧で見る

候補になりやすいサービスを、立ち位置と価格の傾向で並べてみます。金額はいずれも公開情報からの目安で、プランや商品点数によって変わります。実際の検討では必ず各社の最新プランをご確認ください。

  • Bカート:BtoB専用カート。得意先ごとの掛率・価格表・締め払いに標準対応。公開料金は月額9,800円からで、卸売完結型に向く
  • CO-NECT:受発注のやり取り自体をデジタル化するツール。FAX取り込みや発注側アプリを備え、無料プランもあるが機能・連携に制限がある
  • Shopify B2B:世界規模の汎用ECにB2B機能を載せる形。会社単位の顧客管理や得意先別カタログを、小売向けECと同じ基盤で扱える
  • POS・在庫管理から受発注へ広げる製品(スマレジ等):店舗販売や在庫管理が主目的で、受発注はその周辺機能として使う位置づけ。既に同系の基盤を使っている場合の延長候補

表面の月額を並べても判断はつきません。同じ「受発注SaaS」でも、卸売の商習慣にどこまで最初から対応しているか、無料枠でどこまで実運用できるか、基幹とどうつなぐかで実質コストは大きく変わります。次の四つの軸で自社に引き付けて見てください。

選定軸は四つ——取扱商品数・得意先数・基幹連携・D2C併設意向

  • 取扱商品数(SKU):点数が多いほど商品マスタの登録・更新負担が効いてくる。CSV一括登録や項目のカスタマイズがどこまでできるかを見る
  • 得意先数と価格の複雑さ:得意先ごとに掛率や価格表を分ける必要があるか。ここが複雑なほど、卸売に特化した器のほうが運用は軽い
  • 基幹システムとの連携:受注データを在庫・売掛・請求へどう流すか。CSV・API・中間ツールのどれで、どこまで自動化できるかを事前に確認する
  • D2C(消費者向け直販)併設の意向:将来、小売向けの自社ECや海外販売まで一つの基盤でやりたいなら、汎用ECの拡張であるShopify B2Bが有利になりやすい

四つのうち、取扱商品数と得意先数は「今の運用が回るか」を、基幹連携とD2C併設意向は「数年後に継ぎ足しが要らないか」を測る軸です。目先の使い勝手だけで選ぶと後者を見落とし、結果として二つ目のシステムを買い足すことになりがちです。

どの器を選んでも、自社側でやることは変わらない

サービス選定に時間をかけても、実際に立ち上がるかどうかを決めるのは自社側の準備です。次の4つは、どの器を選んでも必ず発生します。見積もり比較の前に、この工数を見ておいてください。

  • 商品マスタの整備:品番・商品名・入数・単位・規格を、得意先に見せられる形に整える作業。ここが最も時間を食います。基幹の品番と、得意先が呼んでいる呼称が違う場合は対応表も必要です。
  • 得意先マスタと価格の棚卸し:得意先ごとの掛率・価格表・締め支払い条件を一覧にします。「特別扱い」が口頭で運用されている先が必ず出てくるため、この作業自体が商習慣の整理になります。
  • アカウントの発行と配布:誰に発行するか(発注担当者単位か、会社単位か)、パスワード再発行を誰が受けるかを決めます。運用開始後の問い合わせの大半がここです。
  • 帳票の出し方の決定:見積書・納品書・請求書・受領書のうち、どれをECから出し、どれを基幹から出すか。二重発行の事故はここで起きます。

この4つが整理できていれば、どの器でも1〜2ヶ月で立ち上がります。逆に整理がないまま契約すると、器の機能ではなく自社の準備が原因で、半年たっても公開できない状態になります。

見落とされがちな『乗り換えコスト』

器選びで最も軽視されるのが、後から別サービスへ移る際のコストです。商品・得意先のデータ自体は多くの場合エクスポートして移せますが、本当に重いのはデータ移行ではありません。得意先に「発注のやり方が変わります」ともう一度案内し、慣れてもらい直す手間です。一度Web発注に慣れた得意先を別の画面へ移すのは、紙からWebへ移すのと同じくらいの説得コストがかかります。

さらに、基幹との連携を作り込んでいた場合、そのつなぎ込みも作り直しになります。だからこそ最初の選定で「取扱商品数・得意先数・基幹連携・D2C併設意向」の四軸を数年先まで見ておくことが、結局いちばんの節約になります。安さで選んで一年で乗り換えるより、少し高くても伸びしろのある器を選ぶほうが総額は下がる、という場面は珍しくありません。

得意先が新しい発注方法に慣れてくれるかどうかは、器選びの前提そのものです。移行が進まない場合の考え方については、得意先がECに移行してくれない時の対処法|移行率をKPIにしないで整理しています。

なお、器を選んでからが本番です。導入後に得意先へ定着せず使われないままになるケースも珍しくないため、B2B ECが使われない原因と立て直し方|使われるECとの差と、基幹側とのつなぎ方を整理したShopifyと基幹システムの連携方法もあわせて確認しておくと、選定の精度が上がります。

自社ECの「作り方」も「伸ばし方」も、30分の無料相談で一緒に整理します作り方・予算のかけ方・マーケの知見・広告運用——どれか一つが欠けているだけで、良い商品があっても売上には変わりません。現状のEC・SNS・顧客データをうかがい、どこから伴走を始めるべきかをその場でご案内します。

よくある質問

Q. BカートとShopify B2Bの一番の違いは何ですか?
A. Bカートは日本のBtoB受発注に特化した専用カートで、得意先ごとの掛率・価格表・締め支払いに最初から対応しています。Shopify B2Bは汎用ECプラットフォームにB2B機能を載せる形で、小売向けの自社ECや海外展開と同じ基盤の上で卸売を扱えます。卸売だけで完結し価格体系が複雑なら前者、販路を広げる見込みがあり器を一つにまとめたいなら後者が候補になります。機能の多寡ではなく、数年後に2つ目のシステムを買い足さずに済むかで判断してください。
Q. CO-NECTは無料で使えますか?
A. 無料プランはありますが、機能や連携に制限があります。無料で始められること自体は入口の話で、判断すべきは「自社の受注の何割がその範囲で処理できるか」です。取扱商品数・得意先数・基幹連携の要否を確認し、制限に当たる部分が主要業務に含まれるなら、有料プランや他製品との比較が必要になります。料金・プラン内容は変わることがあるため、検討時は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
Q. あとから別のサービスへ乗り換えられますか?
A. 技術的には可能ですが、本当に重いのはデータ移行ではありません。得意先に「発注のやり方がまた変わります」と案内し、慣れてもらい直す手間です。一度Web発注に慣れた得意先を別の画面へ移すのは、紙からWebへ移すのと同程度の説得コストがかかります。加えて基幹連携を作り込んでいた場合は、そのつなぎ込みも作り直しになります。最初の選定で取扱商品数・得意先数・基幹連携・小売向けEC併設の4軸を数年先まで見ておくことが、結局いちばんの節約になります。
Q. 器を導入しても、移行しない得意先のFAX・電話注文が残る場合はどうすればいいですか?
A. 残る前提で設計します。Web発注に移れる先はECへ、残るFAX・電話は読み取りでデータ化し、最終的に基幹側で1本にまとめる形です。この全体像がないまま器だけを入れると、ECの注文は自動なのにFAXの注文は手入力という二重体制になり、事務の総量はほとんど減りません。移行率をKPIにして得意先へ圧力をかけるのは逆効果で、見るべきは受注1件あたりの処理時間と入力ミスの件数です。
Q. 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
A. 自社側の準備が整っていれば、どの器でも1〜2ヶ月が目安です。期間を左右するのはサービスの機能ではなく、商品マスタの整備、得意先ごとの掛率・価格表の棚卸し、アカウント発行のルール決め、帳票をECと基幹のどちらから出すかの決定、の4点です。この整理がないまま契約すると、半年たっても公開できない状態になりがちです。

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