公開日: 2026.05.19 / 最終更新日: 2026.05.19
使われるB2B ECと放置されるB2B ECの差はどこにあるか
B2B ECの失敗の多くは機能不足ではなく「作ったのに使われない」ことです。使われない原因を3つのよくある誤解から解き、得意先が毎週開くECの条件と発注側が持つべき判断軸を整理します。
B2B ECの失敗は、システムが動かないことではありません。ちゃんと動いているのに、得意先が使ってくれないことです。数百万円かけて公開したサイトの注文が月に数件、受注の主力は相変わらずFAX——この「静かな失敗」は、機能の不足ではなく発注時の思い込みから生まれます。よくある誤解を3つ、順に崩していきます。
誤解1: 「サイトを作って案内すれば、得意先は使ってくれる」
使われません。得意先にとって、いまのFAXや電話は「壊れていない発注手段」です。人は壊れていないものを、案内文1通で置き換えたりしません。得意先がECに移るのは、移ったほうが自分の業務が楽になると体感した瞬間だけです。
だから比較対象は常に現状のFAX・電話です。ログインして、探して、数量を入れて——という一連の操作が、FAX1枚書くより速いか。この問いに勝てない画面は、どれだけ機能が揃っていても放置されます。公開後の最初の1か月に、営業担当が主要得意先の事務所で一緒に初回注文を操作する、という泥臭い立ち上げ運用まで含めて「構築」です。
誤解2: 「機能が多いほど、使われるECになる」
逆です。B2B ECの利用者は買い物を楽しみに来ているのではなく、仕事の発注を終わらせに来ています。機能が増えるほど画面は複雑になり、週1回しか触らない得意先の担当者は操作を覚え直すことになります。
毎週開かれるB2B ECの画面は、驚くほど単純です。ログインすると自社の定番品と前回の注文が見えて、数量を直して、確定する。それだけです。レコメンドも特集バナーも要りません。発注側の意思決定として大事なのは、開発会社への要望リストを増やすことではなく、初期リリースから何を削るかを決めることです。
誤解3: 「使われないのは、得意先がITに弱いから」
都合のよい結論なので疑ってかかるべきです。年配の店主でもスマートフォンでLINEを使い、ネット通販で買い物をしています。個人としてはデジタルを使いこなしている相手が自社のECだけ使わないなら、原因は相手の資質ではなく、こちらの画面と運用にあると考えるのが筋です。
- ログインの摩擦: パスワードを忘れた時点で得意先はFAXに戻る。ID管理の設計と再発行のしやすさは最重要項目
- スマホ対応: 飲食店の発注は閉店後の厨房や移動中に行われる。PC前提の画面はその時点で選ばれない
- 例外時の逃げ道: 欠品・急ぎ・特注のとき電話に切り替えられる安心感がないと、最初からECを選ばない
正しい判断軸: 「毎週開く理由」を要件にする
3つの誤解に共通する根は、視点が自社側にあることです。「うちの受注業務が楽になるか」で仕様を決めると、得意先が使う理由のないECができあがります。要件定義の主語を得意先に置き換えてください。得意先の発注担当者が毎週この画面を開く理由は何か。その答えが「FAXより速くて、在庫と納期がその場で分かって、履歴が請求と突き合わせられるから」と言えるなら、そのECは使われます。
そして「使われているか」は感覚でなく数字で追います。得意先別のログイン頻度、EC経由の受注比率、初回注文から2回目までの日数。この3つを毎月見るだけで、放置の兆候は早期に掴めます。
awai Coreでは、B2B ECの構築を「公開して終わり」ではなく、FAX・電話との並走運用と利用率の立ち上げまで含めた受発注DXとして設計します。さらにawai Compassを組み合わせれば、得意先別の利用状況や受注チャネルの変化を経営ダッシュボードで追い続けられます。作ったのに使われない不安がある方は、要件を固める前の段階でこそご相談ください。
より詳しくはB2B ECの再注文設計を、隣接するテーマはShopify B2Bサイトの構築手順をご参照ください。
30分の無料相談を予約する得意先の発注実態をヒアリングし、「毎週開かれる画面」に必要な要件と、初期リリースから削るべき機能を一緒に見極めます。よくある質問
- Q. ECを作れば得意先は使ってくれますか?
- A. 見た目を整えるだけでは使われません。発注が電話より軽いか、毎週の定型作業が最短で終わるかが定着を左右します。
- Q. 機能は多いほうがいいですか?
- A. いいえ。B2Bは再注文中心なので、履歴・定番リスト・数量記憶に絞るほうが使われます。B2C的な華やかさは不要です。
- Q. 使われているかどう測ればいいですか?
- A. ログイン頻度、Web発注比率、再注文の所要時間などで測ります。放置されるECは指標が伸びず、原因は設計にあることが多いです。
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