公開日: 2026.06.04 / 最終更新日: 2026.06.04

Shopify BtoBで複数価格・ロット販売を実装する方法

Shopify BtoBで複数価格設定・顧客タグ自動付与・ロット販売を実現する3つのアプローチを比較しました。Liquidカスタマイズ・アプリ・Shopify Plusの選び方を難易度と費用感で整理しています。

ひとつのShopifyストアから得意先ごとに異なる掛率・ロット条件を出し分ける構成図

Shopifyには「顧客グループごとに価格を変える」機能が標準では存在しません。これを知らずにBtoBサイト構築を始めると、必ず後半で詰まります。よくあるのが「開発会社に頼んだら追加費用が発生した」というパターンで、原因の多くはこの複数価格問題です。

この記事では、Shopifyで複数価格設定・顧客タグによる価格切替・ロット販売・最小注文数制御を実装する3つのアプローチを、難易度と費用感とともに整理します。

Shopify標準機能で複数価格設定は「できない」

まず前提として、Shopifyの標準機能には「顧客グループごとに価格を変える」機能が直接組み込まれていません。Shopify Plusでは「B2B on Shopify」(卸売向けの公式機能)の企業別価格リストが使えますが、通常プランではLiquid(Shopify独自のテンプレート言語)のカスタマイズか、外部企業製の拡張アプリ(サードパーティアプリ)が必要になります。

  • アプローチA:顧客タグ + Liquidテンプレートによる価格表示切替(表示制御型)
  • アプローチB:サードパーティアプリによる価格管理(Wholesale Club・Kibo等)
  • アプローチC:Shopify Plus + B2B on Shopifyの企業別価格リスト(Plusのみ)

アプローチA:顧客タグによる価格切替(Liquid実装)

Shopifyの顧客プロフィールにはタグを自由に付与できます。「wholesaler_A」「wholesaler_B」「vip」といったタグを使い、Liquidテンプレート内で顧客タグ(customer.tags)を参照して表示価格を動的に切り替える実装です。取引先グループが3〜5グループ程度でシンプルな価格体系に向いています。

アプローチB:サードパーティアプリによる複数価格設定

「Wholesale Club」「Kibo(旧Wholesale Helper)」「Simplio」などのアプリを使うと、顧客タグに紐づいた価格テーブルをGUIで管理できます。Liquidのカスタマイズなしに運用担当者が直接メンテナンスできる点が最大のメリットです。アプリ費用は月5,000〜20,000円程度です。

このアプローチBのように標準機能を外部アプリで補う考え方は、価格設定に限らず決済・帳票・アクセス制限といった他の課題にも共通します。Shopify BtoBアプリのおすすめ|目的別5カテゴリの選び方と費用感では、こうした目的別のアプリ選定の考え方を整理しています。

アプローチC:Shopify Plus + B2B on Shopifyの企業別価格リスト

Shopify PlusのB2B on Shopify機能では、企業(Company)ごとに完全に独立した価格リストを設定できます。価格テーブルがShopifyのコアデータとして管理されるため、基幹システムとのAPI連携でもデータが正確に扱えます。月商1,000万円以上・取引先数が10社超のBtoBサイトではPlusへの移行が長期的なコストを抑えることが多いですが、これはあくまで目安です。取引先の価格体系の複雑さや変更頻度によって最適解は変わるため、一概に「この規模ならPlus」とは言えない部分もあります。

3つのアプローチ、どれを選ぶか(判断の目安)

AとBとCのどれに寄せるかは、取引先グループの数と価格変更の頻度でほぼ決まります。

  • 取引先グループが3〜5・価格変更が年数回まで → アプローチB(アプリ)。GUIで運用担当が直接直せる。月5,000〜20,000円で最も費用対効果が高い
  • 社内にエンジニアがいて、表示を細かく作り込みたい → アプローチA(Liquid)。ただし価格変更のたびにコード修正が要り、運用が属人化しやすい
  • 取引先10社超・掛率が複雑・基幹連携も要る → アプローチC(Shopify Plus+B2B on Shopify、月額約22万円〜)。価格がコアデータとして扱えるため、API連携でデータが正確に流れる

顧客タグの自動付与:手動管理からの脱却

  • 手動付与:Shopify管理画面から担当者が個別に付与。取引先が少ない場合は最もシンプル
  • 登録フォーム連携:申請フォーム(Typeform・Google Form等)→ Zapier/Make → Shopify顧客タグ付与の自動化
  • Shopify Flow(Plus限定):特定条件(初回注文完了・購入額累計等)を満たした顧客に自動タグ付与
  • Admin API直接連携:既存のCRM(顧客管理)・ERP(基幹システム)からShopify Admin APIでタグを同期

ロット販売・最小注文数の実装方法

  • アプリ(Minify・MOQ Helper等):商品ごとに最小注文数・ロット単位を設定。費用:月3,000〜8,000円
  • Liquidカスタマイズ:JavaScriptでカート画面の数量入力を制御。開発は個別見積
  • Shopify Functions(Plus):チェックアウト時にサーバー側で検証。最も確実だがPlus必須

実装前に知っておくべき、3つの落とし穴

アプリを入れれば解決、とはいかない部分があります。見積もりを取る前に、この3点を要件に落としておくと後戻りを防げます。

  • アプローチA(Liquid表示制御)は「見た目の価格を変えるだけ」。カート・チェックアウトのサーバー側検証まではやらないため、URL直打ちなどで別価格を通される余地が残る。厳密な価格保護が要るならBかCへ
  • 顧客タグの手動管理は取引先50〜100社が限界。それを超えたらCRM連携でのタグ自動付与か、B2B on Shopifyの企業単位管理に切り替えないと、価格ミスの温床になる
  • ロット・最小注文数を取引先ごとに変えたいなら、標準アプリでは足りずカスタム開発かShopify Functionsが必要。ここは見積もりが跳ねやすいので、要件を最初に明示する

実装費用まとめ

  • アプリ活用(Wholesale Club等 + MOQアプリ):アプリ月額(月1〜2.5万円程度)+初期設定(個別見積)
  • Liquidカスタマイズ(顧客タグ + 価格切替 + ロット制御):開発は個別見積
  • Shopify Plus + B2B機能 + カスタム開発:Plus月額(約22万円〜)+ 開発は個別見積

費用を図で比較する:3アプローチの初期費用と月額費用

ここまでの内容を、初期費用と月額費用に分けて図にまとめました。数字だけを追うと「アプローチBが一番安い」ように見えますが、費用の性質がそれぞれ異なる点に注意が必要です。

Shopify複数価格の3つのアプローチ(Liquidカスタマイズ・サードパーティアプリ・Shopify Plus+B2B)の初期費用と月額費用を比較した図
アプリ活用は月額運用型、Plus+カスタム開発は初期投資型。取引先数と価格変更頻度で選ぶ

アプローチBは月額課金型で、価格改定のたびに運用担当者がGUIで直接直せる分、取引先数が増えるほど月々の管理コストが積み上がります。アプローチCは初期投資型で、Shopify Plus自体の月額に加えて開発費がかかりますが、価格データがコアシステムに一元化されるため、取引先が多く価格改定も頻繁な会社では長期的な運用の手間を抑えやすい構造です。自社がどちらの費用の性質に向いているかを、取引先数の伸びしろも含めて考えることをお勧めします。

ShopifyでBtoB会員制(クローズド)サイトを構築する方法を見るログイン制限・代理店ログイン・パスワード保護の実装パターンを費用感つきで比較しています。Shopify BtoB開発会社の選び方と費用相場を見る複数価格設定・ロット販売を含むBtoBサイト開発を外注するときの7つのチェックポイントと費用相場をまとめました。自社は「アプリ」か「Liquid」か「Plus」か、30分で見立てます取引先グループの数・価格変更の頻度・掛率の複雑さ・基幹連携の有無をうかがい、3つのアプローチから過不足のない実装パターンと概算費用をその場でご提案します。要件を最初に切り分けるので、後からの追加費用を防げます。

よくある質問

Q. 取引先が100社を超えた場合、顧客タグ管理は現実的ですか?
A. 取引先が50〜100社を超えると、タグ管理の運用コストが上がります。この規模になったらShopify PlusのB2B on Shopify(企業単位の管理)への移行か、CRMと連携したAPI自動タグ付与を検討する段階です。タグを手動でメンテナンスし続けると、価格ミスの原因になるリスクがあります。
Q. 価格改定のたびにShopifyの設定を変更するのは大変ですか?
A. アプローチによって難易度が変わります。アプリ(Wholesale Club等)ならGUIで修正でき、非エンジニアの担当者でも操作可能です。Liquidテンプレートで実装した場合は価格変更にコード修正が必要なケースがあり、毎回の改定コストが上がります。価格変更の頻度が年3回以上あるならアプリ管理の方が長期的に安くなります。
Q. ロット数の条件を取引先によって変えることはできますか?
A. できますが、実装の複雑さが上がります。標準的なMOQアプリは全顧客一律の最小注文数設定です。顧客タグ別に異なるロット条件を適用するにはカスタム開発またはShopify Functionsが必要になります。取引先ごとのロット条件に大きな差がある場合は、最初から個別対応を想定した設計で見積もりを取ることをお勧めします。

関連記事

この記事の内容、あなたの事業ではどうなるか。

具体的な数字で一緒に確かめられます。オンライン・初回無料です。

30分の無料相談を予約する
30分の無料相談を予約する

オンライン・初回無料