公開日: 2026.06.04 / 最終更新日: 2026.10.21

Shopify BtoBで複数価格・ロット販売を実装する方法

Shopify BtoBで取引先別の価格・ロット販売・最小注文数を実装する3つの方法を比較します。Shopify公式のB2B機能(カタログと数量ルール)、価格管理アプリ、Liquidカスタマイズの違いと選び方を解説します。

同じ商品の箱から三枚の価格タグが下がり、机の上に三社の得意先カードが並ぶ卸価格設定の情景イラスト

Shopifyで取引先ごとに価格を変えたり、ケース単位の販売や最小注文数を設定したりする方法は3つあります。顧客タグとLiquidによる表示の切り替え、価格管理アプリ、Shopify公式のB2B機能(カタログと数量ルール)です。B2B機能はBasic以上の各プランで使えますが、通常プランのB2B向けカタログは3つまでで、取引先の会社ごとに個別の価格を持たせるにはShopify Plusが必要です。

B2B機能を使わない通常のストアには、顧客グループごとに価格を変える仕組みがありません。この点を確かめないまま構築を始めると、開発の後半で価格の出し分けが追加要件になり、見積もりが膨らみます。3つの方法の違いを難易度と費用感とともに説明します。

Shopifyで取引先別の価格を設定する3つの方法

Shopifyの価格は、通常は商品ごとに1つです。取引先によって価格を変えるには、テーマ側で表示を切り替えるか、アプリで価格を管理するか、Shopify公式のB2B機能で取引先向けのカタログを作ります。

  • アプローチA:顧客タグ+Liquidテンプレートによる価格表示の切り替え(表示制御型)
  • アプローチB:サードパーティアプリによる価格管理(Wholesale Hub等)
  • アプローチC:Shopify公式のB2B機能のカタログと価格(会社別の価格はPlus)

アプローチA:顧客タグによる価格切替(Liquid実装)

Shopifyの顧客プロフィールにはタグを自由に付けられます。「wholesaler_A」「wholesaler_B」「vip」といったタグを使い、Liquid(Shopify独自のテンプレート言語)で顧客タグ(customer.tags)を参照して表示価格を切り替える実装です。取引先グループが少なく、価格体系が単純な場合に向いています。

アプローチB:サードパーティアプリによる複数価格設定

「Wholesale Hub(旧Wholesale Club)」などのアプリを使うと、顧客タグに紐づいた価格表を画面上で管理できます。Liquidを書き換えずに、運用担当者が価格を直接直せる点が利点です。アプリ費用は月5,000〜20,000円程度です。

標準機能を外部アプリで補う考え方は、価格設定に限らず決済・帳票・アクセス制限にも共通します。目的別のアプリの選び方はShopify BtoBアプリの選び方|目的別5カテゴリと費用を参照してください。

アプローチC:Shopify公式のB2B機能(カタログと価格)

Shopify B2Bでは、取引先を「会社」として登録し、B2B向けのカタログに取引先向けの価格を設定します。価格がShopifyのコアデータとして管理されるため、チェックアウトでもその価格が適用され、基幹システムとのAPI連携でもデータを正確に扱えます。

Basic・Grow・Advancedプランでは、B2B向けカタログを全マーケット合計で3つまで作り、マーケット単位で割り当てます。会社や拠点ごとにカタログを直接割り当て、取引先別の価格にできるのはPlusのみです(Shopifyヘルプセンター、2026年10月時点)。価格パターンが4つ以上ある、または取引先ごとに掛け率が違う場合はPlusを検討します。Plusの月額は368,000円から(3年契約、2026年10月時点)と通常プランと桁が違うため、アプリで運用した場合の月額や手間と比べて決めます。

3つのアプローチ、どれを選ぶか(判断の目安)

A・B・Cのどれに寄せるかは、価格パターンの数と価格改定の頻度でほぼ決まります。

  • 価格パターンが3つ以内 → アプローチC(通常プランのB2B機能)。カタログで価格と数量ルールを管理でき、アプリの月額がかからない
  • 価格パターンが4つ以上だがPlusは見送りたい → アプローチB(アプリ)。運用担当が画面上で直せる。アプリ月額は月5,000〜20,000円程度
  • 取引先ごとに掛け率が違う・基幹連携も要る → アプローチC(Shopify Plus+会社別カタログ)。価格がコアデータとして扱えるため、API連携でデータが正確に流れる
  • 社内にエンジニアがいて、表示を細かく作り込みたい → アプローチA(Liquid)。ただし価格変更のたびにコード修正が要り、作業が特定の人に偏る

顧客タグを付ける4つの方法:手動から自動化まで

  • 手動付与:Shopify管理画面から担当者が個別に付ける。取引先が少ない場合は最も手軽
  • 登録フォーム連携:申請フォーム(Typeform・Google Form等)→ Zapier/Make → Shopifyの顧客タグ付与を自動化
  • Shopify Flow(Basic以上の各プランで無料):初回注文の完了や購入額の累計など、条件を満たした顧客に自動でタグを付ける
  • Admin API直接連携:既存のCRM(顧客管理)・ERP(基幹システム)からShopify Admin APIでタグを同期

ロット販売・最小注文数の実装方法

  • Shopify B2Bの数量ルール:カタログごとに最小・最大・購入単位(ケース入数の倍数など)を設定。数量に応じた段階価格もカタログ単位で設定でき、Basic以上の各プランで利用可
  • 最小注文数アプリ:商品ごとに最小注文数・ロット単位を設定。費用は月3,000〜8,000円
  • Liquidカスタマイズ:JavaScriptでカート画面の数量入力を制御。開発は個別見積
  • Shopify Functions(カート・チェックアウトの検証):サーバー側で数量を検証する。App Storeの公開アプリ経由なら各プランで使え、自社専用のカスタムアプリで組む場合はPlusが必要

実装前に確認する3つの注意点

アプリを入れれば済む、とはいかない部分があります。見積もりを取る前に、次の3点を要件に書き込むと手戻りを防げます。

  • アプローチA(Liquidの表示制御)は見た目の価格を変えるのみ。カート・チェックアウトでのサーバー側の検証はしないため、別の価格で注文を通される余地が残る。価格を厳密に守るならBかCを選ぶ
  • 取引先が数十社を超えると、手動のタグ管理では付け忘れや付け間違いが起き、価格ミスにつながる。CRM連携でのタグ自動付与か、B2B機能の会社単位の管理に切り替える
  • ロット・最小注文数を取引先ごとに変えるなら、B2B機能の数量ルールをカタログ単位で設定する。会社ごとに細かく変えるにはPlusの会社別カタログかShopify Functionsを使った開発が要り、費用が膨らみやすいため、要件の段階で明示する

実装費用まとめ

  • Shopify B2B機能(通常プラン):プラン料金の範囲内+カタログ・数量ルールの初期設定(個別見積)
  • アプリ活用(Wholesale Hub等+MOQアプリ):アプリ月額(2つの合計で月8,000〜28,000円程度)+初期設定(個別見積)
  • Liquidカスタマイズ(顧客タグ+価格切替+ロット制御):開発は個別見積
  • Shopify Plus+会社別カタログ+カスタム開発:Plusの月額(368,000円から)+開発は個別見積

費用を図で比較する:3アプローチの初期費用と月額費用

ここまでの内容を、初期費用と月額費用に分けて図にしました。月額で見ると、通常プランのB2B機能(アプローチC)はプラン料金の範囲内で使えます。ただしカタログが3つを超える場合は、アプリ(アプローチB)の月額かPlusの月額が加わります。

Shopifyで取引先別の価格を設定する3つのアプローチ(Liquidカスタマイズ・価格管理アプリ・Shopify公式のB2B機能)の初期費用と月額費用を比べた図。B2B機能は通常プランならプラン料金の範囲内でカタログ3つまで、会社ごとの個別価格はPlus(月368,000円から)
価格パターン3つ以内は通常プランのB2B機能、4つ以上はアプリかPlus。価格改定が多いほど画面で直せる方法が向く(2026年10月時点)

アプローチBは月額課金型で、価格改定のたびに運用担当者が画面上で直せる一方、取引先が増えるほど価格表の管理の手間が積み上がります。アプローチCは価格データがShopify本体に一元化され、チェックアウトでもその価格が適用されます。通常プランで足りれば追加の月額はかからず、会社ごとの個別価格が要る場合はPlusの月額と開発費が加わります。取引先数がこの先どこまで増えるかも含めて、どちらが自社に合うかを判断してください。

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本記事のShopifyの料金は2026年10月時点の公式情報です。Shopify本体のプラン料金と決済手数料は改定されることがあるため、総額はShopifyの費用|月額料金・手数料・プラン比較で料金の構造と損益分岐の計算を確かめ、公式の料金ページで最新の金額と突き合わせて試算してください。

価格の出し分けとロット条件は、構築の後半で足すと見積もりが膨らむ要件です。awai Build は着手前に取引先ごとの掛け率とロット条件を一覧にし、通常プランのB2B機能で足りるか、アプリやPlusが要るかを判断してから構築に入ります。公開後の価格改定や取引先の追加は、保守運用の作業として受け持ちます。

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よくある質問

Q. 取引先が100社を超えた場合、顧客タグ管理は現実的ですか?
A. 取引先が増えるほど、手動でのタグの付け忘れや付け間違いが起き、価格ミスの原因になります。この規模では、Shopify B2Bの会社単位の管理(取引先別の価格はPlus)に移るか、CRMと連携してAPIでタグを自動付与する方法を検討します。
Q. 価格改定のたびにShopifyの設定を変更するのは大変ですか?
A. 方法によって手間が変わります。アプリ(Wholesale Hub等)やB2B機能のカタログなら管理画面で修正でき、エンジニアでない担当者も操作できます。Liquidテンプレートで実装した場合は価格変更にコード修正が要ることがあり、改定のたびに作業費がかかります。改定が年に何度もある会社は、画面上で直せる方法を選ぶと運用費を抑えられます。
Q. ロット数の条件を取引先によって変えることはできますか?
A. できます。Shopify B2Bの数量ルールはカタログごとに設定するため、カタログを分ければ取引先グループごとに最小注文数や購入単位を変えられます。通常プランのカタログは3つまでで、会社ごとに条件を変えるにはPlusの会社別カタログか、Shopify Functionsを使ったカスタム開発が必要です。取引先ごとのロット条件に差が大きい場合は、個別対応を見込んだ設計で見積もりを取ることを勧めます。

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