公開日: 2026.05.11 / 最終更新日: 2026.05.11

ShopifyでBtoB(卸売)サイトを構築する完全手順

ShopifyでBtoB向け卸売サイトを構築する方法を、BtoB/BtoCの違い、構築方式3パターン、機能要件、運用設計まで網羅して解説します。

ShopifyでBtoBサイト構築を示すシステム構成イメージ

ShopifyのBtoB構築で失敗する案件には共通点があります。要件定義をすっ飛ばして構築を始めることです。BtoBは顧客ごとに価格・支払い条件・発注ロット・承認フローが違います。「誰に、何を、どの条件で売るか」が決まっていない状態でShopifyを触り始めると、公開後に例外処理の山になります。

ShopifyでBtoBサイトを構築する前に押さえるべきこと

BtoBとBtoCでは設計の前提が違う

BtoBでは企業が顧客になるため、BtoCとは購買行動も業務フローも異なります。単に商品を並べるだけでは不十分で、販売条件、社内業務、顧客ごとのルールまで含めて設計する必要があります。

  • 取引単価が大きい
  • 継続購入や再注文が多い
  • 請求書払い、掛け払い、後払いが必要になる
  • 顧客ごとに価格や購入条件が変わる
  • 購買担当者、承認者、経理担当者など複数人が関与する
  • 受注後に在庫、請求、出荷、基幹システムとの連携が必要になる

ShopifyでBtoB(卸売)サイトを構築する3つの方法

1. パスワード保護で限定公開する

最もシンプルな方法は、Shopifyストアにパスワード保護をかけ、特定の取引先だけが閲覧できる状態にする方法です。初期検証やMVP(まず最小限の機能で試す版)としては有効ですが、顧客ごとの価格設定や複雑な支払い条件には向きません。

  • 取引先が少ない
  • 顧客ごとの価格差が少ない
  • まずは小さく卸売サイトを始めたい
  • BtoB専用サイトとして限定公開したい

2. BtoB向けアプリを組み合わせる

次に、Shopifyアプリを使ってBtoB機能を補完する方法があります。標準機能だけでは足りない部分を柔軟に補える点が強みですが、アプリを増やしすぎると管理画面が複雑になり、保守コストが上がります。

  • 卸売価格設定: Wholesale Club など
  • 請求書払い・掛け払い: Paid、MF KESSAI などの外部決済・請求管理サービス連携
  • 注文制限・最低ロット制御
  • 法人会員向けフォーム
  • 顧客タグ別の価格・表示制御
  • 請求書や納品書の自動発行
  • 配送・返品フローの効率化

3. Shopify Plus / B2B on Shopify を活用する

本格的なBtoBサイトを構築する場合は、ShopifyのBtoB機能を活用する選択肢があります。B2B on Shopify では、会社プロフィールや顧客別カタログ、価格表、数量ルールなど、法人取引に必要な機能を管理しやすくなります。

  • 会社プロフィール設定
  • 顧客企業・担当者管理
  • ロケーション別の条件設定
  • 顧客別カタログ
  • 価格表
  • 数量ルール
  • 支払期日などの決済条件
  • 再注文導線
  • 発注書番号の管理
  • Shopify Flow(条件に応じて作業を自動実行する機能)による業務自動化

構築手順1: 要件定義で取引条件を整理する

Shopify BtoBサイト構築で最初に行うべきことは、機能選定ではなく要件定義です。対象顧客、商材、価格、支払い条件、配送条件、連携システムを先に整理します。

  • 対象顧客: 法人、小売店、代理店、既存取引先など
  • 商材: 通常商品、限定商品、法人専用品など
  • 価格体系: 標準価格、顧客別価格、数量割引
  • 最低ロット: 最小購入数、購入単位、ケース単位
  • 支払い条件: クレジットカード、銀行振込、請求書払い、掛け払い
  • 配送条件: 送料、配送エリア、リードタイム
  • 与信・審査: 新規取引申請、承認フロー
  • 権限: 発注者、承認者、管理者
  • 連携: 在庫管理、会計、基幹システム、CRM(顧客管理システム)

PM視点: 最初から全要望をシステム化しない

営業部門の要望をすべて初期段階でシステム化しようとすると、例外処理が膨らんで保守コストが高騰します。「このお客様だけ特別に」を全部受け入れると、半年後に誰も全体像を把握できないシステムになっています。まず最小構成で動かして、運用の中で優先度が高い要望だけを順番に追加していくのが正解です。

  • 標準価格
  • 顧客別価格
  • 最低ロット
  • 請求書払いまたは掛け払いの基本フロー
  • 問い合わせ・見積導線

その後、運用データを見ながら、数量割引、承認フロー、顧客ランク、複雑な配送条件を段階的に追加すると、システムが肥大化しにくくなります。

BtoB顧客管理の階層構造(会社・担当者・配送先・請求先)の図解

構築手順2: ストアと顧客管理を設計する

BtoBサイトでは、単なる会員登録ではなく、会社単位での管理が前提になります。B2B on Shopify を使う場合は会社プロフィールやロケーション設定を前提に整理します。アプリ構成の場合は、顧客タグやメタフィールド(商品・顧客に追加できる自由なデータ項目)を使って条件を管理する設計が考えられます。

  • 会社情報
  • 担当者情報
  • 拠点・ロケーション
  • 請求先
  • 配送先
  • 担当者ごとの権限
  • 顧客別の閲覧可能商品
  • 顧客別の価格表

構築手順3: 価格・割引・購入条件を設計する

BtoB卸売サイトで最初に詰まるのは価格設計です。基本は標準価格、顧客別価格、数量割引の3層で考えると整理しやすくなります。

  • A社には掛け率70%(標準価格の70%で販売)
  • B社には特定カテゴリのみ卸価格
  • 10個以上で5%割引
  • 30個以上で10%割引
  • 最低注文数は1ケース単位
  • 一部商品は見積依頼のみ

PM視点: 価格例外を無制限に増やさない

価格例外を細かく作りすぎると、後から誰も管理できない状態になります。「この顧客だけ特別」「この商品だけ例外」「この月だけ割引」を無制限に受け入れると、Shopify側だけでなく、請求、在庫、CS対応まで複雑になります。

  • 例外価格を誰が承認するか
  • 価格表を誰が更新するか
  • 価格変更の頻度
  • 顧客別価格の上限パターン
  • アプリで管理する範囲と手動対応する範囲
BtoB受注フロー(注文・与信確認・請求書・在庫・出荷・入金)の6ステップ図解

構築手順4: 決済・請求・受注フローを設計する

BtoBでは、決済まわりの設計も外せない論点です。請求書払い・掛け払いを扱う場合は、Paid や MF KESSAI などの外部サービス連携も検討候補になります。

  • クレジットカード
  • 銀行振込
  • 請求書払い
  • 掛け払い
  • 後払い
  • 商品受領後の支払い
  • 一部前払い

また、注文受付、在庫引当、与信確認、請求書発行、入金確認、出荷指示、配送通知、会計処理までの流れも明確にしておく必要があります。BtoBでは「注文を取ること」よりも「正しく請求し、正しく出荷できること」が本質です。

構築手順5: 法人顧客向けのUXを整える

BtoBサイトでは、法人顧客が迷わず発注できる導線が必要です。BtoCのように見た目の華やかさを優先するより、探しやすい・再注文しやすい・間違えにくいことの方がずっと大事です。

  • 商品検索
  • カテゴリ導線
  • 定番商品の再注文
  • 見積依頼
  • 問い合わせ
  • 発注書番号入力
  • 購入履歴
  • 請求・配送情報の確認
  • 大口注文時の数量入力

構築手順6: アプリと外部連携を選定する

Shopify標準機能だけで不足する場合は、アプリや外部サービスを組み合わせます。ただし、アプリは多ければよいわけではありません。導入するたびに、月額費用、設定管理、表示速度、障害時の切り分けが増えます。

  • 卸売価格
  • 会員制販売
  • 注文制限
  • 請求書発行
  • 掛け払い
  • 配送管理
  • 返品管理
  • 法人申請フォーム
  • 多言語・多通貨
  • ポイント・ロイヤリティ
  • GA4(Googleの無料アクセス解析ツール)計測

構築手順7: 公開前にテストする

公開前には、実務に近いテストシナリオを作成します。法人顧客テストアカウントを複数用意し、実際の取引に近い注文パターンで確認すると、公開後のトラブルを減らせます。

  • 顧客別価格が正しく表示されるか
  • ゲストには卸価格が見えないか
  • 最低ロットが機能するか
  • 数量割引が正しく反映されるか
  • 請求書払いのフローが成立するか
  • 注文通知メールが正しいか
  • 配送条件が正しいか
  • 税計算が正しいか
  • 権限別に画面表示が変わるか
  • 再注文導線が機能するか
  • 管理画面で運用担当者が処理できるか

公開後に見るべきKPI

BtoBサイトは、公開して終わりではありません。特に、BtoBでは再注文率と受注処理時間を最初に追ってください。顧客が繰り返し使いやすく、社内の処理工数も下がっている状態を目指しましょう。

  • 問い合わせ率
  • 見積依頼数
  • 見積から受注への転換率
  • 再注文率
  • 客単価
  • 受注処理時間
  • 注文ミス件数
  • 顧客別売上
  • 商品別売上
  • 離脱ページ

Shopify BtoBサイトの構築・保守運用はawaiにご相談ください

awaiでは、Shopifyを活用したBtoBサイト構築から、公開後の保守運用・改善まで一貫して支援できます。

  • Shopify BtoBサイトの要件整理
  • BtoB / BtoC併用ストアの設計
  • 顧客別価格・権限設計
  • 注文フロー設計
  • アプリ選定
  • 既存システム連携
  • GA4を使った効果測定
  • 公開後の保守運用
  • 商品追加・条件変更
  • 問い合わせ改善
  • 業務フロー改善

特に、卸売サイトでは『作って終わり』ではなく、顧客別条件の変更、商品追加、キャンペーン対応、問い合わせ改善、業務フローの見直しが継続的に発生します。自社内だけで保守しきれない場合は、構築段階から運用を見据えて外部パートナーを入れることで、公開後の手戻りを抑えやすくなります。

ShopifyでBtoB(卸売)サイトを立ち上げたい、既存ECを法人向けに拡張したい、公開後の保守運用までまとめて相談したい場合は、awaiのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

まとめ

ShopifyのBtoB(卸売)構築は、単にECサイトを作る作業ではありません。重要なのは、方式選定、条件設計、運用整備の3点です。

  • 方式選定
  • 条件設計
  • 運用整備

自社の取引複雑度に応じて、限定公開、アプリ補完、B2B on Shopify の活用を組み合わせることで、実務に耐える卸売サイトを構築できます。

まずは、すべてを作り込むのではなく、標準価格、顧客別価格、最低ロット、請求フローなど、事業に必要な最小構成から始めることを強くすすめます。そのうえで、運用データを見ながら段階的に拡張していくことで、保守しやすく成果につながるBtoBサイトを実現できます。

よくある質問

Q. Shopify BtoBサイトの構築期間はどのくらい見ておけばいいですか?
A. パスワード保護の限定公開で1〜2週間、アプリ構成の標準的なBtoBサイトで6〜8週間、基幹システム連携が入るケースで3〜6ヶ月が目安です。構築を長引かせる最大の要因は要件定義の不確定事項(価格体系・承認フロー・配送条件)です。発注前にこれらが確定していると、工期を大幅に短縮できます。
Q. Shopify BtoBサイトは、基幹システム(ERP・販売管理)と連携できますか?
A. できます。ShopifyはAdmin APIとWebhookを公開しており、注文・顧客・在庫データを基幹システムと双方向で連携できます。freee・弥生・マネーフォワードなどの会計ソフトはCSV連携で対応でき、SAPや独自ERPとはAPI連携が必要になります。「どのデータをどのシステムに集約するか」を最初に決めてから進めないと大きな手戻りが発生します。
Q. BtoBサイト構築で最初に決めるべき項目は何ですか?
A. 対象顧客、価格体系、最低ロット、支払い条件、配送条件、承認フローの6項目を先に確定させてください。ここが曖昧なまま進めると、公開後に大きな手戻りが発生します。
Q. 社内にShopify経験者がいませんが、公開後に運用できますか?
A. できます。Shopifyの管理画面は直感的に設計されているため、EC運用経験がない担当者でも2〜3時間のトレーニングで基本操作は習得できます。awaiでは納品後に管理画面の操作トレーニングをセットで提供しており、月次の改修依頼や質問対応は保守契約として継続サポートも対応しています。
Q. アプリ導入はどこまで必要ですか?
A. 標準機能で不足する業務領域だけを補完するのが基本です。最初から入れすぎるより、課題に応じて段階導入する方が運用負荷を抑えられます。ただし「後から追加すると設計を変えなければならない」アプリ(複数価格設定・承認フロー等)は初期設計に含めておく方が結果的に安くなります。

関連記事

この記事の内容、あなたの事業ではどうなるか。

具体的な数字で一緒に確かめられます。オンライン・初回無料です。

30分の無料相談を予約する
30分の無料相談を予約する

オンライン・初回無料