公開日: 2026.07.17 / 最終更新日: 2026.07.17

Shopify B2B卸売とAmazonビジネスを比較|卸の販路の選び方

卸売業が新しい販路を検討する際に迷いやすい、Shopify B2BとAmazonビジネスの構造の違いを、手数料・顧客関係・価格統制の3つの軸から整理し、自社に合う条件の考え方を解説します。

Amazonビジネス(法人向けモール)と自社EC(Shopify B2B)の特徴を左右に並べ、手数料・顧客関係・価格統制の違いと、それぞれが向く段階を示した比較イメージ図

卸売業にとって「販路の選び方」がなぜ重要なのか

卸売業がECでの新しい販路を検討する際、真っ先に候補に挙がるのが「Amazonビジネス(法人・個人事業主向けに設計されたAmazonの購買プラットフォーム。通常のAmazonマーケットプレイスとは別枠で、法人限定価格や請求書払いに対応する)」と「自社EC(Shopify B2B機能を使って自社サイト上に法人取引の仕組みを組む)」の2つです。どちらも「オンラインで法人顧客に販売する」という点は共通していますが、実際には手数料の構造・顧客との関係の作り方・価格の統制のしやすさという3つの軸で性質が大きく異なります。この違いを理解しないまま「とりあえず両方試す」と手を広げると、運用負荷だけが増えて成果が薄まりがちです。

なお、Amazon・楽天などの個人向けモール出店から自社ECへ乗り換えるという文脈は楽天・AmazonからShopifyに移行する方法と費用で扱っており、本記事はそれとは異なり、まだ本格的な販路を持たない卸売業が「法人向けモール(Amazonビジネス)に出るか、自社EC(Shopify B2B)を構築するか」という戦略選択を扱います。

Amazonビジネスとは何か

Amazonビジネス(Amazon Business)は、Amazonが提供する法人・個人事業主向けの購買プラットフォームです。通常のAmazon個人向けマーケットプレイスとは別に、法人限定価格・数量割引・請求書払い(後払い)・複数担当者による承認フローといった、企業の購買部門が使いやすい機能が用意されています。卸売業がここに出品すると、Amazonが既に抱える法人バイヤーの購買動線に相乗りできる一方、出品手数料(カテゴリごとに定率)が発生し、価格や販促の主導権はAmazonのプラットフォーム側の仕様に一定程度従う形になります。

Shopify B2Bとは何か(要旨)

Shopify B2Bは、自社ECサイト上に法人取引の仕組み(会社アカウントの管理・得意先ごとのカスタム価格・掛け払いに相当する支払い条件など)を組み込める機能群です。2026年4月、この基本機能がShopify Plus専用から通常プラン(Basic・Grow・Advanced)へ追加費用なしで開放され、より小規模な卸売業でも自社EC上でB2B取引の土台を組みやすくなりました(無制限カタログや得意先ごとの高度な出し分けなど一部機能は引き続きPlus限定)。この機能開放の詳しい中身と、Plusを検討すべきかどうかの判断基準はShopify B2Bが通常プランに開放|中小卸の選択肢【2026年】で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。本記事では、この「自社EC」という選択肢を、もう一つの有力な選択肢である「Amazonビジネス」と比較することに主眼を置きます。

3つの軸で見る構造の違い

Amazonビジネスと自社EC(Shopify B2B)を比較するとき、awaiが販路のご相談で重視しているのは次の3つの軸です。

  • 手数料の構造:Amazonビジネスは取引ごとに販売手数料が発生し続けます。手数料率は出品カテゴリによって異なり、取引が積み上がるほど手数料の総額も比例して増えていく構造です。自社ECは、Shopifyの月額プラン費用は固定でかかりますが、取引件数が増えても手数料が売上に比例して積み上がる構造ではありません。取引件数・単価が大きい卸売取引ほど、この違いが利益率に効いてきます。目安として、月間の取引総額が大きく、かつ取引先が固定化している(新規開拓の比率が低い)卸ほど、自社EC側の固定費構造が有利に働きやすくなります
  • 顧客関係の資産化:Amazonビジネスでの取引でも、自社が受注した分の注文データ(どの法人に・いつ・何が売れたか)は、出品者向けの管理画面(セラーセントラル)のレポートで参照できます。ただし、そこで得た顧客情報を注文の処理以外の目的(自社の営業・販促活動など)に使うことはAmazonの規約で制限されており、他の出品者やAmazon全体を横断した顧客の購買行動データも参照できません。顧客アカウントと顧客接点そのものは、Amazonのプラットフォーム側に置かれる構造です。自社ECであれば、顧客の購買履歴・問い合わせ履歴を自社側で保有し、リピート施策や個別提案、与信管理などに直接活用できます。一方でAmazonビジネスには、法人顧客に対する与信審査・請求書の発行・代金回収をAmazon側が代行する仕組みが用意されており、出品者が取引先ごとの与信リスクを個別に負わずに済むという利点があります。どちらが良いということではなく、「顧客データを自社で持つ代わりに与信・回収の実務も持つ」か、「与信・回収を委ねる代わりに顧客接点はプラットフォーム側に置く」かという表裏の関係にあります
  • 価格統制のしやすさ:Amazonビジネスは同一カテゴリ内で他の出品者と価格比較にさらされやすく、価格競争の圧力を受けやすい環境です。値下げ合戦に巻き込まれると利益率が圧迫されます。自社ECであれば、取引先企業ごとのカスタム価格・数量に応じた価格ブレークを自社の裁量で設計でき、価格を公開の比較対象にさらさずに済みます

どんな卸はどちらが向くか——判断の分岐と併用パターン

3つの軸を踏まえたうえで、実務でよく見られる分岐の考え方を整理します。

  • 新規の法人バイヤーとの接点をまず増やしたい段階:自社の認知度が低く、法人バイヤーがまだ自社の存在を知らない立ち上げ期の卸には、Amazonビジネスが向いています。Amazonが既に抱える購買動線に相乗りできるため、営業活動をゼロから積み上げるより早く取引の入口を作れます。手数料は発生しますが、「まず取引の接点を作る」という初速を優先するフェーズでは合理的な選択です
  • 既存取引先との関係を深め、価格・条件を自社でコントロールしたい段階:すでに一定数の取引先を持ち、掛け払い・数量ロット・得意先ごとの価格交渉といった商習慣が定着している卸には、自社EC(Shopify B2B)が向いています。取引データを自社に蓄積し、リピート発注の効率化や与信管理に活用しながら、長期的な取引関係を自社側の資産として積み上げていけます
  • 役割を分けて併用する:多くの卸売業では、どちらか一方に絞り込むのではなく役割を分けて併用する考え方が実務では取られます。Amazonビジネスを「新規接点を増やすための入口チャネル」、自社ECを「関係が深まった既存取引先との本命チャネル」と位置づけ、Amazonビジネス経由で接点ができた取引先を、その後の取引量や関係性の深まりに応じて自社ECへ誘導する、という段階的な設計です
  • 判断に迷う場合の出発点:自社の卸売事業が「新規開拓を優先したい段階」なのか「既存取引先との関係強化を優先したい段階」なのかを、まず取引先リストの構成比(新規取引先の比率)で棚卸しすることが、どちらの販路に投資すべきかを判断する出発点になります
Amazonビジネスと自社EC(Shopify B2B)の構造比較図。手数料構造・顧客関係の資産化・価格統制の3軸を左右に並べ、新規接点重視ならAmazonビジネス寄り、既存関係重視なら自社EC寄りという2つの活用シーンを示したもの
3つの軸の構造比較。新規接点重視か既存関係重視かで、向く販路は変わる

陥りやすい誤解

① Amazonビジネスと自社ECのどちらか一方を選ばなければならないと考えてしまう——役割を分けて併用する考え方も実務では取られており、まず自社が「新規接点を増やしたい段階」か「既存取引先との関係を深めたい段階」かを整理することが出発点になります。

② 価格比較だけで販路を決めてしまう——手数料の多寡だけでなく、顧客データを自社に蓄積できるかどうか、価格統制の自由度をどこまで持ちたいかという中長期の視点も合わせて検討する方が実務的です。

③ Amazonビジネスへの出品を「Amazon個人向けマーケットプレイスへの出品」と同じ感覚で捉えてしまう——法人限定価格・請求書払い・複数担当者の承認フローなど、購買側の企業向けに設計された別の仕組みであり、一般消費者向けの出品戦略をそのまま流用できるものではありません。

依頼する場合の進め方

Shopify B2Bの構築や、既存データの構造化を外部に相談する場合、awaiでご案内している一般的な進め方は次のとおりです。

まずは無料相談(30分)で、現状の販路・取引先データの状態・検討している方向性(新規接点重視か既存関係強化か)をお聞きします。そのうえで、無料トライアル(2週間・初期費用0円)を通じて、実際のデータを使い、構造化や運用面でどれだけ改善できるかを数字で確認いただく流れをご用意しています。大きな投資判断の前に、効果を実データで見ていただくための入口です。

費用の目安

効果を確認いただいたうえで、本格的な実装(Shopify B2Bの構築・データ構造化等)をご希望の場合は、個別にお見積りします(投資対効果試算表を添付)。実装・保守の具体的な費用は、この段階では確約せず、トライアル結果を踏まえたお見積りでお伝えします。

なお、Shopify自体の月額プラン費用やAmazonビジネスの出品手数料は、各社の公式料金ページで随時更新されるため、本記事では具体的な金額の記載を避けています。ご検討の際は各社の最新の公式情報をご確認ください。

まとめ——構造の違いを理解してから販路を選ぶ

Amazonビジネスと自社EC(Shopify B2B)は、どちらも「オンラインで法人顧客に販売する」という共通点を持ちながら、手数料の構造・顧客関係の資産化・価格統制のしやすさという3つの軸で性質が異なります。新規の法人バイヤーとの接点を増やしたい段階か、既存取引先との関係を深め価格・条件を自社でコントロールしたい段階かによって、適した選択は変わり、役割を分けた併用という考え方も実務では有効です。Shopify B2Bの2026年4月の機能開放の詳しい中身はShopify B2Bが通常プランに開放|中小卸の選択肢【2026年】で、既存のShopifyユーザーが受発注システムを選ぶ観点はBカート・CO-NECT・Shopify B2Bを比較でそれぞれ整理していますので、あわせてご覧ください。

Shopify・データ構造化に関するよくあるご質問はよくあるご質問でも回答しています。

Shopify B2Bの構築、30分の無料相談で自社に合う販路を一緒に整理します現状の取引先データ・検討中の販路(Amazonビジネス/自社EC)をお聞きし、自社に合う組み合わせの見立てをその場で整理します。しつこい営業は行いません。

よくある質問

Q. Amazonビジネスと自社EC、どちらから始めるべきですか?
A. 新規の法人バイヤーとの接点を増やしたい段階であればAmazonビジネス、既存取引先との関係を深め価格・条件を自社でコントロールしたい段階であれば自社EC(Shopify B2B)が向いています。役割を分けて両方を併用する考え方も実務では取られます。
Q. 自社ECとAmazonビジネスは併用できますか?
A. 併用は可能です。Amazonビジネスを新規接点の入口、自社ECを既存取引先との本命チャネルと位置づけて役割分担するという考え方が実務では取られています。
Q. 手数料の面ではどちらが有利ですか?
A. Amazonビジネスは取引ごとに販売手数料が発生し続ける構造で、取引が積み上がるほど手数料総額も比例して増えます。自社ECはShopifyの月額プラン費用が固定でかかる一方、取引件数の増加に手数料が比例しません。取引件数・単価が大きい卸売取引ほど、自社EC側が有利に働きやすい傾向があります。
Q. Shopify B2Bの構築を依頼する場合の費用はどのくらいですか?
A. まずは無料相談(30分)で現状をお伺いし、無料トライアル(2週間・初期費用0円)で実際のデータをもとに効果をご確認いただきます。本格的な実装費用は、トライアル結果を踏まえて個別にお見積りします(投資対効果試算表を添付)。

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