公開日: 2026.10.06 / 最終更新日: 2026.10.06

ECの地域別送料の設定|北海道・沖縄・離島の追加送料の決め方

自社ECの送料を全国一律にするか地域別にするか、北海道・沖縄・離島への追加送料をいくらにするかを、運賃表の仕組み、地域区分の3パターン、加算額の出し方、送料無料ラインとの組み合わせ、購入前の表示まで、決める順に整理します。

手前の荷台に箱を積んだ配送トラックの前で担当者が海の向こうを指さし、青い海に浮かぶ小舟が荷物を1つ載せて右奥の丘の上の家へ向かっており、トラックのそばには低いコインの山、島のそばには高いコインの山が置かれている情景イラスト

カートサービスの送料設定の画面を開くと、「全国一律」「都道府県別」「地域別」と選択肢が並び、ここで手が止まります。本州向けの運賃で一律に決めると、北海道や沖縄からの注文が入るたびに送料の差額を自社が被り、商品によっては1件まるごと赤字になります。かといって都道府県ごとに細かく分けると、購入者には分かりにくく、設定の手間も増えます。この記事では、宅配便の運賃がどこで地域差を生むのかという仕組みから、地域区分の3つのパターン、北海道・沖縄・離島への加算額の出し方、送料無料ラインとの組み合わせ、購入前に伝える表示の作り方までを、決める順に整理します。

送料の地域差はどこで生まれるか|運賃表は「差出地×届け先×サイズ」で決まる

宅配便の運賃は、荷物のサイズ(縦・横・高さの合計と重さ)と、差出地から届け先までの地帯(ゾーン)の組み合わせで決まります。同じ60サイズの箱でも、関東から関東へ送る場合と、関東から沖縄へ送る場合では運賃が違います。ネットショップの送料に地域差が生まれる根本の理由はこれで、自社が「地域別送料」を設定するかどうかにかかわらず、運送会社への支払いは最初から地域別になっています。全国一律送料とは、その差を自社が平均して吸収している状態にすぎません。

離島の扱いは、運送会社によって違います。ヤマト運輸は、公式のよくあるご質問で「離島に送るための追加料金はいただいておりません」としています(一部の離島ではクール宅急便を発送できない地域があるという注記つきです)。佐川急便の飛脚宅配便は、公式のサービス案内で、一部離島へのお届けには中継料が別途加算されると案内しています。日本郵便のゆうパックは、差出地の都道府県ごとに用意された基本運賃表で、宛先の地帯に応じて運賃が決まります。つまり「離島は追加料金がかかる」は、どの会社のどのサービスで送るかで答えが変わります。

もう一つ、自社の運賃表を見るときの注意があります。法人として運送会社と契約している場合、適用される運賃は公表されている個人向けの運賃とは別の契約運賃です。北海道・沖縄向けと本州主要地帯向けの差がいくらになるかは、自社の契約運賃表を見て確かめてください。公表運賃と契約運賃で、地帯の区切りや差額が同じとは限りません。

地域区分の3パターン|全国一律・地域別・一律+北海道沖縄離島加算

送料の地域区分の置き方は、実務では次の3パターンに収まります。どれが正解ということはなく、商品の重さ・サイズ、注文の地域分布、購入者に見せたい分かりやすさのどこを優先するかで選びます。

パターン設定の形向いている店注意点
全国一律どの地域にも同じ送料。北海道・沖縄・離島も同額小型・軽量で運賃の地域差が小さい商品。注文の大半が本州の店地域差を自社が吸収するため、北海道・沖縄の注文比率が上がると利益が削られる
地域別(地帯別・都道府県別)運送会社の地帯区分に合わせて数段階の送料を置く大型・重量物など運賃差が大きい商品。実費に近づけたい店購入者が送料を確かめるまで金額が分からず、カートで離脱の原因になりやすい
一律+北海道・沖縄・離島加算本州・四国・九州は一律、北海道・沖縄・離島だけ加算額を上乗せ中小規模の自社ECで最も採りやすい形。設定も説明も簡単離島の判定(郵便番号)をどう管理するか、加算額をいくらにするかを先に決める必要がある
送料の地域区分・3パターンの比較

3つ目の「一律+加算」は、全国一律の分かりやすさを保ちながら、赤字になりやすい地域だけ実費に寄せる折衷案です。自社ECを始めたばかりの中小メーカーや卸であれば、まずこの形で置き、注文データがたまってから見直すのが現実的です。

送料の地域区分を3パターンに分けた比較図。全国一律、地域別(地帯別・都道府県別)、一律+北海道・沖縄・離島加算の3列に、設定の形・向いている店・注意点を並べ、3列目の一律+加算を中小の自社ECがまず置く形として強調し、加算額は自社の契約運賃表の差額から出すと脚注で示している

なお、送料をどう置くかは客単価の設計とも関わります。送料無料ラインの金額をどこに引くかはEC客単価の上げ方|クロスセル・セット販売・送料無料ラインの順番で扱っているので、本記事では地域による差の付け方に絞ります。

北海道・沖縄・離島の加算額の出し方|契約運賃の差額から決める

加算額を決める手順は4つです。

  • 主力商品の梱包後のサイズ帯を決める:注文の大半を占める商品を実際に梱包し、60・80・100サイズのどこに入るかを確かめます。サイズ帯が複数ある場合は、件数の多い帯を基準にします
  • 契約運賃表で差額を出す:基準のサイズ帯について、本州主要地帯向けの運賃と、北海道向け・沖縄向けの運賃を並べ、差額を出します。差額は北海道と沖縄で同じとは限らないため、別々に見ます
  • 差額をそのまま加算にするか、丸めるかを決める:差額が数百円であれば、端数を切り上げて百円単位の加算額にすると、購入者に説明しやすくなります。差額の全額を転嫁するか、一部を自社で持つかは、北海道・沖縄の注文比率と商品の粗利で判断します
  • 離島は郵便番号で管理する:どの住所を「離島」として加算するかは、運送会社の中継料の対象地域や配達日数の案内をもとに郵便番号のリストで決め、カートサービスの地域設定(離島など一部地域の加算機能)に登録します。カートサービスによってはアプリや追加設定が必要です

判断に迷いやすいのは「差額を全部乗せるか」です。ここは理屈より実測で決めます。過去の注文データで、北海道・沖縄・離島向けの注文が全体の何%を占めるかを出してください。比率が小さければ、加算額を控えめにして差額の一部を吸収しても、全体の利益への影響は限られます。比率が大きい、あるいは重量物で差額そのものが大きい場合は、実費に近づけないと、注文が増えるほど利益が減る構造になります。

もう一点、運賃は改定されます。運送会社の運賃改定があった年は、契約運賃表を取り寄せ直し、加算額を見直してください。年に1回、決まった月に見直す運用にしておくと、設定したまま何年も放置される事態を防げます。

送料無料ラインと地域加算の組み合わせ|無料にする範囲を先に決める

「○円以上で送料無料」のラインを置く店は多く、ここで地域の扱いを決め忘れると赤字が集中します。全国どこでも同じ金額で送料無料にすると、北海道・沖縄・離島向けでは本州向けより高い運賃をまるごと自社が負担することになるからです。選択肢は3つあります。1つ目は、送料無料ラインを北海道・沖縄・離島には適用しない(これらの地域は常に送料がかかる)。2つ目は、北海道・沖縄・離島だけ無料ラインの金額を高く置く。3つ目は、無料にはするが加算額分だけは別途いただく。

参考になる実例として、楽天市場は2020年3月18日から「送料無料ライン」を導入し、同一ショップでの購入金額が税込3,980円以上で送料無料、沖縄・離島・一部地域への配送は税込9,800円以上で送料無料という2段階の線を引いています(楽天市場の送料無料ラインガイドより。お酒類や、発送元が沖縄・離島の商品など、対象外の区分もあります)。地域によって無料ラインの金額を変える、という考え方がモール側の標準になっている例です。モールと自社ECを併売している場合は、両方の送料条件が大きく食い違わないようにしておくと、購入者の混乱が減ります。併売時の価格や条件のそろえ方は自社ECとモールの併売|使い分けの判断軸と価格・撤退の決め方で整理しています。

購入前に伝える表示の作り方|送料は特定商取引法の表示事項でもある

地域別の送料は、金額を決めただけでは半分です。購入者が注文を確定する前に分かる形で表示して、初めて機能します。通信販売では、販売価格とあわせて送料を広告に表示することが特定商取引法で求められており、消費者庁の特定商取引法ガイドでは、広告スペースが不足している場合には最高送料と最低送料、送料の数例などの表示も認められるとされています(その場合、請求があれば遅滞なく詳細を提供することが望ましいとされています)。地域別送料であれば、「本州・四国・九州○円、北海道○円、沖縄○円、離島は別途加算」のように、区分と金額を並べて書くのが基本です。

表示する場所は3つあります。1つ目は「特定商取引法に基づく表記」のページ。2つ目は商品ページの価格の近く(送料の区分へのリンクでも構いません)。3つ目は注文の最終確認画面です。2022年6月施行の改正特定商取引法で、インターネット通販の最終確認画面には販売価格と送料を含む所定の事項を表示することが求められています。多くのカートサービスでは届け先の住所を入力した時点で送料が自動計算されますが、離島の判定が手動の場合は、注文確定後に追加の送料をお願いすることになります。その場合は「離島宛ては別途送料をご連絡します」と、注文前に読める場所に書いておいてください。確定後に初めて追加送料を知らされることが、クレームと離脱の典型的な原因です。表記ページの書き方全体はネットショップの特定商取引法に基づく表記|個人の書き方と省略条件にまとめています。

送料が最終確認画面で初めて分かる構造は、金額の多寡にかかわらず離脱を生みます。カートの入力フォームのどの画面で離脱しているかの見つけ方はカート離脱率の改善|入力フォームで落ちる画面の見つけ方と直す順番で扱っています。

設定後の運用|地域比率と1件あたりの送料差を四半期ごとに見る

設定したあとは、見る数字を2つに絞ります。1つは地域別の注文比率。北海道・沖縄・離島向けの注文が全体の何%かを四半期ごとに出し、比率が変わってきたら加算額の見直しを検討します。もう1つは、1件あたりの「受け取った送料」と「支払った運賃」の差。注文データと運送会社の請求を突き合わせ、地域ごとにこの差を出すと、どの地域で持ち出しが起きているかが数字で見えます。

また、運送会社を1社に決める必要はありません。本州向けと離島向けで会社を使い分ける店もあります。ただし、会社ごとに集荷の締め時間、送り状の発行方法、追跡の案内が変わるため、現場の作業が増える点は織り込んでください。メーカーが直販を始めるときに、送料の設定を開店前に決めておくべき理由はメーカー直販の始め方|卸と衝突しない価格と最初の一品の決め方でも触れています。

まとめ——区分は3パターンから選び、加算額は契約運賃の差額から出す

送料の地域差は、運賃表が差出地と届け先の地帯で決まっている以上、自社が設定で消せるものではなく、誰が負担するかを決める問題です。中小規模の自社ECなら、まず「本州・四国・九州は一律、北海道・沖縄・離島は加算」の形で置き、加算額は主力商品のサイズ帯における契約運賃の差額から出す。送料無料ラインを置くなら、無料にする地域の範囲を先に決める。決めた区分と金額は、表記ページ・商品ページ・最終確認画面の3か所で注文前に読める状態にする。そして四半期ごとに地域比率と送料差を見て、運賃改定の年には加算額を見直す。この順番で進めれば、北海道や沖縄からの注文を歓迎できる送料設計になります。

送料の設計から商品ページ、集客までを順番に整えたいときは、awai Buildのサービス詳細でご確認いただけます。

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よくある質問

Q. 北海道・沖縄・離島への加算額はいくらが相場ですか?
A. 相場で決めるものではなく、自社の契約運賃表で主力商品のサイズ帯の差額を見て決めます。差額は運送会社・契約内容・サイズ帯で変わるため、他店の金額を真似ても自社の実費とは一致しません。差額の全額を乗せるか一部を吸収するかは、北海道・沖縄・離島の注文比率と商品の粗利で判断してください。
Q. 離島には必ず追加料金がかかりますか?
A. 運送会社とサービスによって違います。ヤマト運輸は公式のよくあるご質問で離島に送るための追加料金はいただいていないとしており、佐川急便の飛脚宅配便は一部離島へのお届けに中継料が別途加算されると案内しています。自社が契約している会社の案内と契約運賃表で確かめてください。
Q. 送料無料ラインは全国同じ金額でよいですか?
A. 全国同じ金額にすると、北海道・沖縄・離島向けでは本州向けより高い運賃を自社が全額負担することになります。これらの地域には無料ラインを適用しない、無料ラインの金額を高く置く、加算額分だけ別途いただく、のいずれかを選び、注文前に読める場所に明記してください。楽天市場が通常地域と沖縄・離島等で無料ラインの金額を分けているのは、その一例です。
Q. 離島かどうかはどうやって判定すればよいですか?
A. 郵便番号のリストで管理するのが基本です。運送会社の中継料の対象地域や配達日数の案内をもとに対象の郵便番号を決め、カートサービスの地域設定に登録します。自動判定ができないカートの場合は、「離島宛ては別途送料をご連絡します」と注文前に明記し、確定後に案内する運用にします。
Q. 地域別送料はどこに表示すればよいですか?
A. 特定商取引法に基づく表記のページ、商品ページの価格の近く、注文の最終確認画面の3か所です。通信販売では送料が広告の表示事項に含まれ、2022年6月施行の改正で最終確認画面にも販売価格・送料を含む事項の表示が求められています。区分と金額を並べて書き、離島の扱いも添えてください。
Q. 一度決めた加算額はいつ見直せばよいですか?
A. 運送会社の運賃改定があった年と、北海道・沖縄・離島向けの注文比率が変わったときです。年に1回、決まった月に契約運賃表と注文データの地域比率を見直す運用にしておくと、設定したまま放置されることを防げます。

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