公開日: 2026.10.31 / 最終更新日: 2026.10.31
EC-CUBEからShopifyへの移行|移す機能とやめる機能
EC-CUBEからShopifyへの移行は、プラグインと独自改修をCSV・アプリ・作り直し・やめるの4つに分ける判断で作業量が決まります。2系と4系のCSVの違い、パスワード、URLリダイレクト、決済の切り替えも書きました。
EC-CUBEからShopifyへの移行は、データの移し替えより、EC-CUBEに足してきたプラグインと独自の改修を「CSVと標準機能で移す」「アプリで置き換える」「作り直す」「やめる」の4つに分ける判断で、作業量と費用が決まります。商品・会員・受注のデータはEC-CUBEの管理画面からCSVで書き出せ、商品と顧客はShopifyのCSVで、過去の受注は移行用のアプリかAPIで取り込みます。会員のパスワードは移せず、Shopifyではメールに届くコードでログインする形に変わります。EC-CUBE 2系の商品ページのように「?」の付いたURLは、Shopifyのリダイレクトで想定どおりに転送されない場合があるため、公開前に確かめます。
自社のサーバーでEC-CUBEを動かしてきた会社では、PHPやEC-CUBE本体の更新、脆弱性の修正のたびに改修の費用と手間がかかり、乗り換えを考える場面が出てきます。一方で、EC-CUBEは自由に改修できるぶん、長く使うほどShopifyにそのまま置き換えられない機能が増えています。以降は、移行を考える理由、EC-CUBEのバージョンごとのCSVの出し方、機能の4分類、作り直すかやめるかの決め方、パスワードとURLリダイレクト、決済と進め方の順に書きます。移行の費用や期間の考え方はBASEからShopifyへ移行する方法|タイミング・費用・手順と共通するため、ここではEC-CUBEからの移行で固有に出る点に絞ります。
移行を考える理由|自前のサーバー・バージョンアップ・脆弱性の修正
EC-CUBEはオープンソースのソフトウェアで、自社で用意したサーバーに設置して使います。サーバー、PHP、EC-CUBE本体、プラグインの4つの更新は、自社か依頼している制作会社が受け持ちます。EC-CUBE 4系の各版が求めるPHPのバージョンは、公開されているソースコードの設定ファイルで次のように決められています。
| EC-CUBEの版 | 求めるPHP | そのPHPの公式サポート |
|---|---|---|
| 4.0系 | PHP 7.1.3以上の7系 | PHP 7系は7.4のサポートが2022年11月28日に終了 |
| 4.1系 | PHP 7.3以上の7系 | 同上 |
| 4.2系 | PHP 7.4または8系 | 8.0は2023年11月26日、8.1は2025年12月31日に終了 |
| 4.3系 | PHP 8.1以上 | 8.1は終了済み。8.2以降で動かす |
サーバー会社がPHPの古い版の提供を終えると、EC-CUBE本体の版も上げる必要が出ます。4.0系から4.3系へ上げる場合、プラグインも版に合ったものに入れ替えることになり、EC-CUBE公式サイトで販売されているプラグインは「4.2系」「3.0系」のように版ごとに分かれて掲載されています。2026年9月には4.4.0の最初の試験版がGitHubで公開されており、版の更新はこの先も続きます。
脆弱性の修正も自社で当てます。たとえばEC-CUBEは2026年2月10日に、4.1.0から4.3.1までの版で管理画面の二要素認証をすり抜けられる脆弱性(危険度は中)を公表し、修正ファイルの適用を求めました。修正ファイルは各系列の最新版向けに作られており、旧い版を使っている場合や、対象のファイルを改修している場合は、修正の差分を確認して自分で反映する方法をとるよう案内されています。改修が多いストアほど、修正のたびに制作会社の作業が入ります。
Shopifyでは、サーバーとShopify本体の更新はShopifyが受け持ちます。Shopifyはカード業界のセキュリティ基準PCI DSSのレベル1に準拠しており、その準拠はShopifyで作られたすべてのストアに及ぶと公式サイトに書いています。ただし、テーマとアプリの更新を誰がいつ追うかは、Shopifyに移っても自社で決める仕事として残ります。決め方はShopifyテーマ更新の保守|アプリ更新の担当と時期の決め方にあります。EC-CUBEの強みは自由に改修できる点にあり、改修した機能が売上の柱になっているなら、移すより今の環境を保つほうが合う場合もあります。どちらが合うかは、後述の4分類で「作り直す」に入る機能の数と重さで判断します。
EC-CUBEのバージョンごとのCSVの書き出し方
EC-CUBEは、2系と3系・4系で管理画面の作りが違い、CSVの出し方と選べる項目も変わります。
| 項目 | 2系 | 3系・4系 |
|---|---|---|
| 書き出す画面 | 商品管理・会員管理(会員マスター)・受注管理の各検索結果から「CSVダウンロード」 | 商品・カテゴリ・会員・受注・出荷(配送)の各一覧から「CSVダウンロード」 |
| 出力項目の選び方 | コンテンツ管理>CSV出力設定で、商品情報・会員情報・受注情報・商品カテゴリ・レビューの項目を選ぶ | 設定>店舗設定>CSV出力項目設定で項目を選ぶ |
| 自由な抽出 | CSV出力設定の「高度な設定」でSQLを書いて抽出できる | 「高度な設定」はない。足りない項目はプラグインか改修で出す |
| CSVの種類(4系の初期値) | 上記の5種類 | 商品・会員・受注・配送・カテゴリ。4.3系の初期値には規格・規格分類も含まれる |
| 文字コード | 書き出したファイルで見る | 4系の初期設定はShift_JIS(SJIS-win)で書き出す |
ShopifyはUTF-8のCSVを求めるため、Shift_JISで書き出したCSVは変換してから取り込みます。EC-CUBE 4系の会員CSVの初期の項目には、氏名、住所、メールアドレス、電話番号、購入回数、会員ステータス、ポイントなどがあり、メールマガジンの受信可否は入っていません。4系ではメールマガジンを公式のメールマガジンプラグインで扱うため、受信可否はプラグイン側のデータから取り出して、Shopifyの顧客CSVの「Accepts Email Marketing」列に入れます。
商品CSVでは、「商品画像」の列にはサーバー上の画像のファイル名が入ります。Shopifyの商品CSVは、公開されたhttpsのURLから画像を取り込むため、旧サーバーの画像のURLを組み立てて列に入れるか、画像を別に用意します。EC-CUBEの「規格分類1」「規格分類2」は、Shopifyのオプション(1商品3つまで)に置き換えられます。「発送日目安」や「販売制限数」のようにShopifyの商品CSVに対応する列がない項目は、メタフィールドやアプリで受けるか、次の4分類で扱いを決めます。過去の受注は、ShopifyのCSVでは取り込めず、移行用のアプリかAPIで入れます。
機能を4つに分ける|CSVと標準機能・アプリ・作り直し・やめる
EC-CUBEのプラグインはShopifyでは動かないため、EC-CUBEで使っている機能を1つずつ、Shopifyでどう受けるかに振り分けます。管理画面のプラグイン一覧と、制作会社の改修の記録から機能を書き出し、次の4つのどれに当たるかを決めます。
| EC-CUBEの機能 | Shopifyでの受け方 | 分類 |
|---|---|---|
| 商品・カテゴリ・在庫 | 商品CSV、コレクション | CSVと標準機能 |
| 会員の氏名・住所・メールアドレス | 顧客CSV | CSVと標準機能 |
| 商品別の送料・都道府県別の送料 | 配送プロファイルと配送ゾーンの設定 | CSVと標準機能 |
| 軽減税率(8%)の商品 | 対象の商品をコレクションにまとめ、税の上書きを設定 | CSVと標準機能 |
| ポイント | ポイントアプリ。他のECからのポイントの移行やCSVの取り込みを掲載しているアプリもある | アプリ |
| お届け日・時間帯の指定 | カートで配送希望日時を指定させる日本製のアプリが複数掲載されている | アプリ |
| 定期購入(プラグインや決済モジュール) | Shopify Subscriptionsか外部の定期購入アプリ | アプリ(カード情報は要確認) |
| メールマガジン | 受信可否は顧客CSVへ。配信はメール配信アプリで | アプリ |
| 商品レビュー(プラグイン) | レビューアプリ。過去のレビューを移すかはアプリの取り込み機能で判断する | アプリ |
| 基幹システム・倉庫との連携の改修 | Shopifyの注文・在庫のAPIやCSVを使った連携を作り直す | 作り直す |
| 会員別の価格・卸の注文 | B2B機能やアプリで作り直す | 作り直す |
| 独自の計算(送料・割引)や帳票の改修 | アプリの設定で近いことができなければ作り直す | 作り直す |
| 使われていない独自機能・古いキャンペーンページ・使われない会員項目 | 移さない | やめる |
「作り直す」に入るものは、EC-CUBEのソースコードを直接書き換えていた改修が多くを占めます。基幹システムや倉庫との連携は、Shopifyでは方式から選び直します。方式ごとの違いはShopifyと基幹システムを連携する方法と費用|3つの方式に、卸向けの価格や注文の受け方はShopify B2Bが通常プランに開放|中小卸は何が変わったかにあります。定期購入を「アプリ」に入れる場合でも、決済代行に保管されているカード情報を移せるかで手間が大きく変わるため、アプリの選び方と合わせてShopify定期購入アプリの選び方|決済・解約・移行の確認点で確認します。
作り直すか、やめるかの決め方
4分類で迷いが出るのは、「作り直す」と「やめる」の境目です。EC-CUBEで長く使ってきた機能は、使われていなくても残っていることが多く、すべてを作り直すと移行の費用が膨らみます。次の問いに順に答えると、境目が決まります。
| 問い | 作り直す側に寄る答え | やめる側に寄る答え |
|---|---|---|
| 過去12か月で何回使われたか(受注CSVや管理画面の記録で数える) | 毎月使われている | 数回、または使われていない |
| 売上や取引先との約束につながっているか | 使えないと注文や取引が止まる | なくても注文は受けられる |
| 手作業で代わりにできるか | 代わりの作業が毎週数時間になる | 月に数分の作業で済む |
| 作り直したあと誰が保守するか | 保守の持ち主と費用が決まっている | 持ち主が決まらない |
| Shopifyの標準機能やアプリで近いことができるか | 近いものがなく、業務の流れの中心にある | アプリの機能で足り、運用を合わせられる |
「やめる」と決めた機能は、なくなる日と代わりの手段を、使っていた社内の担当者と取引先に伝えます。「作り直す」に入った機能は、Shopifyの公開日に間に合わせるものと、公開後に足すものに分けると、公開日を後ろにずらさずに済みます。公開後に足すものは、移行のあいだ手作業で代わりを務めると決め、その手作業の時間を記録しておくと、作り直しの優先度を決める材料になります。
パスワードとURLリダイレクト|EC-CUBEで注意する点
EC-CUBEの会員のパスワードは、ランダムな値とサーバーごとの鍵を組み合わせて変換した形で保存されており、元のパスワードは管理画面でも見られません。Shopifyのヘルプセンターも、ほかのストアのパスワードはCSVで移せないと書いています。Shopifyの新しいお客様アカウントは、メールアドレスに届く6桁の確認コードでログインする方式で、旧式のお客様アカウントは2026年2月26日に非推奨となり、新しく作るストアでは選べなくなりました。管理画面に顧客として取り込めば、そのお客様はアカウントを持っている扱いになるため、案内では「パスワードの再設定」ではなく「メールのコードでログインする形に変わる」ことを伝えます。
URLは、EC-CUBEの版によって形が違います。ShopifyのURLリダイレクトは、旧URLから新URLへの301の転送を「Redirect from」「Redirect to」の2列のCSVで取り込め、上限は通常のストアで10万件です。ただし、クエリ文字列(URLの「?」以降)を含むURLは想定どおりに動かない場合があるとヘルプセンターに書かれており、EC-CUBEではこれに当たるURLが多くあります。
| ページ | 2系のURL | 3系・4系のURL | Shopifyの転送先 |
|---|---|---|---|
| 商品詳細 | /products/detail.php?product_id=[商品ID] | /products/detail/[商品ID] | /products/[ハンドル] |
| 商品一覧(カテゴリ) | /products/list.php?category_id=[カテゴリID] | /products/list?category_id=[カテゴリID] | /collections/[ハンドル] |
| 転送の注意 | 商品詳細・一覧ともクエリ文字列を含む | 商品詳細はパスの形。一覧はクエリ文字列を含む | クエリ文字列のURLはテスト用のストアで転送を確かめる |
サーバーの設定によっては、URLの前にインストール先のフォルダ名などが付いていることがあるため、対応表は実際に公開されているURLから作ります。Google Search Consoleで表示回数のある旧URLを書き出し、商品IDとShopifyのハンドルを並べて転送先を埋めます。テスト用のストアで転送されないURLが残った場合は、そのURLの流入の多さを見て、制作会社と扱いを決めます。
決済の切り替えと進め方
EC-CUBEでは、決済代行各社の決済プラグインを入れて支払いを受けていることが多く、その契約はShopifyへ移りません。Shopifyでは、Shopifyペイメントでクレジットカード(Visa、Mastercard、American Express、JCB)とApple Pay・Google Pay・Shop Payを受けられます。代金引換と銀行振込は「手動の支払い方法」で受け、入金を確認して注文を手動で支払い済みにします。コンビニ払いや後払いは、Shopifyペイメントの日本向けの一覧に含まれないため、外部の決済サービスを追加します(2026年10月時点)。
進め方は次の6段階です。
- ①棚卸し:プラグイン一覧、改修箇所の一覧、使っている決済と配送の設定、旧URLの一覧を書き出す
- ②4分類:機能ごとにCSVと標準機能・アプリ・作り直す・やめるのどれかを決め、作り直すものは公開日に間に合わせるかどうかも決める
- ③Shopifyで組み立て:パスワード保護のまま、商品→顧客→受注の順に取り込み、アプリを入れて設定する
- ④テスト:テスト注文で決済の成功と失敗、返金、キャンセル、発送を通し、リダイレクトの転送を試す
- ⑤切り替え:差分の受注と会員を取り込み、DNSを切り替え、旧URLのリダイレクトを取り込む
- ⑥旧サーバーの片付け:受注と会員のデータを書き出して保管したうえで、旧サーバーの個人情報を消し、サーバーと決済代行の契約を解約する
⑥を先送りにして、使わなくなったEC-CUBEをサーバーに残したままにすると、脆弱性の修正を当てないまま会員の個人情報を置いておくことになります。旧サーバーを止める日は、移行の計画を立てる段階で決めておきます。
まとめ|移す前に、機能を4つに分ける
EC-CUBEからShopifyへの移行は、商品・会員・受注をCSVで書き出し、商品と顧客はShopifyのCSV、受注は移行用のアプリかAPIで取り込みます。作業量と費用を決めるのは、プラグインと独自の改修を、CSVと標準機能・アプリ・作り直す・やめるの4つに分ける判断です。2系と4系でCSVの出し方と項目が違い、4系の初期の文字コードはShift_JISです。会員のパスワードは移らず、Shopifyではメールのコードでログインする形に変わります。「?」を含む旧URLの転送は公開前にテスト用のストアで確かめ、旧サーバーを止める日まで計画に入れます。
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- Q. EC-CUBEのプラグインはShopifyで使えますか?
- A. 使えません。EC-CUBEのプラグインはEC-CUBEの上で動くプログラムで、Shopifyでは機能をApp Storeのアプリで足します。使っているプラグインを1つずつ書き出し、Shopifyの標準機能で足りるもの、アプリで置き換えるもの、作り直すもの、やめるものに分けてから移行の見積もりを取ると、費用の内訳が見えます。
- Q. EC-CUBE 2系からでもShopifyに移行できますか?
- A. できます。2系でも商品・会員・受注の各画面からCSVを書き出せ、コンテンツ管理のCSV出力設定で項目を選べます。注意が要るのはURLで、2系の商品ページは「/products/detail.php?product_id=」のようにクエリ文字列を含む形のため、ShopifyのURLリダイレクトで転送できるかを公開前にテスト用のストアで確かめてください。
- Q. EC-CUBEの会員はShopifyでパスワードを設定し直す必要がありますか?
- A. パスワードは移せませんが、設定し直す手順も要りません。Shopifyの新しいお客様アカウントは、メールアドレスに届く6桁のコードでログインする方式です。顧客として取り込んだお客様は、そのままアカウントを持っている扱いになるため、案内ではログインの仕方が変わることを伝えます。
- Q. EC-CUBEの過去の受注データはShopifyに移せますか?
- A. ShopifyのCSVインポートは受注に対応していないため、移行用のアプリかAPIで取り込みます。顧客ごとの購入回数や購入金額に過去の受注を反映させたい場合は取り込み、問い合わせ対応の控えとして持つだけなら、EC-CUBEから書き出したCSVを社内で保管する方法でも足ります。取り込む場合は、注文ごとに届く通知を事前にオフにしてください。
- Q. 独自の改修が多いEC-CUBEでも、Shopifyに移したほうがよいですか?
- A. 改修の中身によります。改修した機能を4分類に当て、作り直すものが売上の柱で数も多いなら、EC-CUBEを保ったまま版を上げるほうが合う場合もあります。作り直すものが少なく、使われていない機能をやめられるなら、サーバーと本体の保守をShopifyに任せられる分、移行の利点が大きくなります。
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