公開日: 2026.09.20 / 最終更新日: 2026.09.20

自社ECの集客を無料で始める方法|立ち上げ期の施策と着手する順番

アクセスがほとんどない立ち上げ期の自社ECで、広告費をかけずに集客を始める方法を整理します。計測の準備、既存の取引先・顧客への知らせ方、商品ページと無料掲載、続けられる発信量まで、着手する順番で解説します。

開店祝いの三角旗を渡した机の上に開いたばかりのネットショップ画面があり、左の封筒・スマートフォン・虫めがねから点線が画面へ集まり、手のひらを差し出す人が迎えている情景イラスト

自社ECを公開して数週間。アクセス解析を開くと、訪問者は1日に数人で、その多くは自社の社員や関係者——立ち上げ期には、ごく普通の状態です。ここで実際に迷うのは、どんな施策があるかではなく、限られた時間で何から、どの順番で手をつけるかです。広告費はかけられない(あるいはまだかけたくない)、担当者は他の業務と兼務、という少人数体制ではなおさらです。この記事では、広告費をかけずに始められる集客(見込み客を自社ECへ呼び込むこと)を、着手する順番に並べ直します。無料といっても担当者の時間は使うため、時間の配分と、反応が少ない間の数字の見方までをあわせて整理します。

無料の集客は「お金がかからない代わりに時間がかかる」と先に割り切る

最初に押さえておきたいのは、無料の集客は費用がかからない代わりに、効果が出るまでの時間がかかるという性質です。検索エンジンからの流入やSNSのフォロワーが安定して増え始めるまでには、半年〜1年ほどかかるのが一般的とされています(各種の解説で共通して示される目安で、商材や更新の頻度によって前後します)。公開直後に訪問者が少ないのは、施策が間違っているからではなく、まだ誰にも見つけてもらえる状態になっていないからです。

もう一つは、無料でも担当者の時間は費用になるという点です。コラム記事を月に4本書く、SNSを毎日投稿するといった計画は、他の業務と兼務している担当者には数週間で回らなくなりがちです。先に「この集客に、週に何時間使えるか」を決めてください。たとえば週に2〜3時間しか確保できないなら、同時に動かす施策は2つまでに絞るのが現実的です(あくまで時間配分の一例で、体制に合わせて調整してください)。全部を少しずつ始めて全部止まるより、2つを続けて反応を見るほうが、立ち上げ期には多くのことが分かります。

最初の90日のゴールも、訪問者数の目標値ではなく、次の2点に置くのがお勧めです。1つ目は、どの入口から来た人が商品ページまで進んだかが分かる状態にすること。2つ目は、すでに接点のある人に、自社ECの開設を一巡知らせること。この2つが済めば、次に伸ばす施策を、数字と実感の両方から選べます。

着手する順番の全体像|反応の早い施策ほど手前に置く

施策を、反応が返ってくるまでの早さと、始める前に必要な準備で並べると、次の5段階になります。前の段階が後の段階の土台になるため、順番は入れ替えないのがポイントです。

無料の集客を着手する順番に並べた段階図。計測を先に入れる、既存の接点へ知らせる、名前で見つかる状態を作る、商品名・型番で見つけてもらう、コラム記事とSNSの発信の5段階を、反応が出るまでの時間が短い順に左から並べている
順番施策反応が出るまでの目安最初に用意するもの
計測を入れる設定直後から数字が見えるGA4とサーチコンソールの登録、入口ごとのURLの印付け
すでにある接点へ知らせる数日〜数週間取引先・既存顧客の一覧、案内文、名刺・メール署名・同梱物
社名・ストア名で見つかる状態を作る数週間サイトのタイトル、Googleビジネスプロフィール(訪問できる場所がある場合)、SNSのプロフィール
商品名・型番・用途で見つけてもらう数か月商品ページの説明文、Googleへの無料の商品掲載
コラム記事・SNSで発信する半年〜1年続けられる頻度の取り決め、書く題材のリスト
立ち上げ期に無料で始める施策の順番(反応が出るまでの期間は一般的な目安)

考え方は、反応の早い施策ほど手前に、時間のかかる施策ほど後ろに置く、というものです。⑤のコラム記事やSNSは、立ち上げ期にまず思い浮かびやすい施策ですが、反応が返るまでが最も長く、担当者の時間も最も使います。①〜③を済ませてから、続けられる量だけ始めるほうが、途中で止まりにくくなります。

①計測を先に入れる|どの入口が効いたかを後から分かるようにする

集客の施策を始める前に、アクセス解析のGoogleアナリティクス4(GA4)と、Googleサーチコンソールを入れておきます。どちらも無料です。GA4は、訪問者がどの入口(検索、SNS、メール、URLの直接入力など)から来て、どのページまで進んだかを見るための道具です。サーチコンソールは、Google検索でどんな語句のときに自社サイトが表示されたかを見るための道具です。GA4は導入前の期間のデータをさかのぼって取ることができないため、数字が少ない立ち上げ期のうちから、最初の1件を記録しておく価値があります。

あわせて決めておきたいのが、入口ごとにURLへ印を付けるルールです。たとえば、メールの署名、同梱するカードのQRコード、SNSのプロフィールのリンクに、それぞれ別の印(UTMパラメータと呼ばれる、URLの末尾に付ける識別用の文字列)を付けておくと、GA4で「メール署名から何人来たか」「同梱カードから何人来たか」を区別できます。全部同じURLを案内してしまうと、あとから何が効いたのかが分からなくなります。

この段階で必要なのは、GA4とサーチコンソールの登録、入口ごとの印のルール決め、週に1回・同じ曜日に数字を見る習慣の3つだけです。eコマース向けの詳しい計測設定は、施策が動き出してからで間に合います。

②すでに持っている接点から知らせる|最初の訪問者は自社を知っている人

立ち上げ期に最初にアクセスしてくれるのは、検索で偶然見つけた人ではなく、すでに自社を知っている人であることがほとんどです。メーカーや卸であれば、次のような接点がすでにあるはずです。

  • 既存の取引先・販売店・購入経験のある顧客:メールでの案内、請求書や納品書への一文(QRコード付き)、営業担当からの口頭での紹介
  • 名刺・会社案内・展示会の資料:URLとQRコードを入れ替える。印刷物は次の版替えのタイミングで構いません
  • メールの署名:担当者全員の署名に自社ECのURLを1行入れる。今日中に終わる施策です
  • 商品に同梱するもの:すでに発送している商品があれば、チラシやカードにQRコードを載せる。次の購入につなげる導線にもなります
  • 自社の既存サイト・SNSアカウント・実店舗や直売所:サイトのトップやヘッダーに自社ECへのリンクを置く、店頭にQRコードを置く

それぞれのリンクには、前の段階で決めた入口ごとの印を付けます。1週間ほど経ったら、どの入口から何人来たかを見比べてください。数が出た入口には、案内の文面を丁寧にする、頻度を上げるといった手を足せます。

メーカーや卸が取引先へ案内するときに、一つだけ気をつけたい点があります。自社ECで直接販売を始めたと知らせると、既存の取引先(小売店・販売店)から「売り先を奪うのか」と受け取られることがあります。自社ECの価格と取引先の店頭価格の関係を決めておく、取扱店の案内を残す、取引先向けには別の注文窓口を用意する、といった配慮を、案内を出す前に社内で決めておくと、関係を損なわずに知らせられます。具体的な扱いは取引条件によって変わるため、自社の契約や取り決めに照らして確認してください。

③社名・ストア名で見つかる状態を作る|検索の受け皿を先に整える

案内を受け取った人の多くは、届いたURLを開くだけでなく、社名やストア名をGoogleで調べ直します。このとき自社ECが上位に出てこないと、せっかくの見込み客がそこで途切れてしまいます。名前で調べられたときの受け皿を、先に整えておきます。

  • サイトのタイトルにストア名が入っているかを確認する:トップページや商品ページのタイトルに、ストア名が含まれているかを見ます
  • Googleビジネスプロフィールを登録する:店舗・ショールーム・直売所など、実際に訪問できる場所がある場合に限り、無料で登録できます。地図や検索結果に店舗情報が表示され、サイトへのリンクも置けます
  • SNSのプロフィール欄にURLを入れる:アカウントがあれば、リンク欄を自社ECのURLにして、名前で調べた人がSNSからでもたどり着けるようにします
  • 自分で社名・ストア名を調べて確認する:ブラウザのシークレットウィンドウで社名とストア名を調べ、自社ECが上位に出るか、古い住所や閉鎖した旧サイトの情報が出ていないかを見ます

ここで見る数字には注意が必要です。社名やストア名で調べた人の数(SEOの用語で「指名検索」と呼ばれる動き)が増えるのは、案内が届いている証拠であって、自社を初めて知った人が増えた証拠ではありません。新規の見込み客に見つけてもらう入口は、次の④になります。

④商品名・型番・用途で見つけてもらう|新規の入口は商品ページ

まだ自社を知らない人に見つけてもらう入口として、立ち上げ期にまず力を入れたいのは、コラム記事よりも、すでにある商品ページです。購入を具体的に考えている人は、商品名、型番、「用途+商品の種類」といった語句で調べるため、そこで表示される商品ページがあれば、購入意欲の高い人に届くからです。商品ページで最初に見直したいのは次の3点です。

  • 商品名と型番の表記:社内での呼び名ではなく、取引先や購入者が調べるときに使う呼び名を入れる。型番があるなら、本文にも必ず入れる
  • 用途・使う場面・仕様の説明:メーカーや卸の商材は、用途や仕様の説明が具体的なほど、調べる人にも購入を迷う人にも役立つ。商品名だけの1行説明のページは、主力商品から順に埋める
  • 購入前の不安への答え:サイズ、容量、納期、返品の条件、最低ロット。購入を止める理由になりやすい情報を、ページの中で答えておく

あわせて、Googleへの商品の無料掲載も検討できます。商品データ(商品名・画像・価格・在庫などを決まった形式に整理したデータ)をGoogle Merchant Centerへ登録すると、Google検索やショッピングタブ、画像検索などに商品を無料で表示できる「無料リスティング」という仕組みがあります。Shopifyの場合は、公式の「Google & YouTube」アプリで商品データを連携できます。ただし、掲載されても上位に表示される保証はなく、商品名・画像・価格・在庫が商品ページと食い違っていないことなど、商品データの正確さが前提になります。ほかのカートサービスを使っている場合も、Merchant Centerと連携する方法が用意されていることがあるため、利用中のサービスの案内を確認してください。

サーチコンソールで、実際にどんな語句で表示されたかが見られるようになったら、表示されているのにクリックされていない語句や、想定していなかった語句を、商品ページの説明文に反映します。数字が少ないうちは、この作業を月に一度行うだけでも、次に書き足すべき内容が具体的になります。

⑤コラム記事とSNSは「続けられる量」から始める

コラム記事とSNSは、無料集客の代表的な手段ですが、反応が返るまでが最も長く、担当者の時間も最も使います。①〜④が済んでから、続けられる量だけ始めます。始める前に決めておくのは次の3つです。

  • 頻度は「続けられる最小」にする:月に2本のコラム記事、週に1回のSNS投稿など。増やすのは3か月続けてからで構いません。途中で止まってしまうことが最も大きな損失です
  • 題材は購入前の疑問から選ぶ:商品の選び方、使い方、よくある失敗、サイズや容量の決め方など、商品ページに書ききれない内容。会社のお知らせや日記は後回しにします
  • SNSは1つに絞る:自社の商材と相性がよく、取引先や購入者が普段使っているものを1つ選ぶ。複数を同時に始めると、全部が止まりやすくなります

LINE公式アカウントやメルマガのように、一度つながった相手に届ける手段は、新規の集客ではなく、集まった人を取りこぼさないための道具です。友だち集めから配信設計まではLINE公式アカウントのEC活用|友だち集め・配信設計・費用、件名や配信時間の見直しはECメルマガ開封率の平均と上げ方|件名と配信時間の見直し方で整理しています。

反応が少ない間の見方|率ではなく件数を、週に1回だけ見る

訪問者が1日に数人という段階では、転換率(訪問者のうち購入に至った割合)のような率の指標は、1件の増減で大きく振れてしまい、判断材料になりません。この段階では、率ではなく件数を、週に1回・同じ曜日に見ます。見るのは次の3つです。

  • 入口別の訪問数:メールの署名、同梱カード、検索、SNSなど、どの入口から何人来たか。0のままの入口があれば、案内が届いていないか、リンクの付け間違いを疑います
  • 商品ページまで進んだ人数:トップページだけを見て帰った人と、商品ページまで進んだ人を分けて見ます。ここが少ないなら、入口の問題ではなく、トップページからの導線の問題です
  • カートに入れた件数:購入に至っていなくても、カートに入れた件数が数件あれば関心は生まれています。購入に至らない理由の切り分けが次の課題になります

8週間ほど続けても、特定の入口からの訪問が0件か1桁のままなら、その入口は入れ替えの候補です(8週間は判断を先延ばしにしないための目安です)。逆に、訪問は少なくても商品ページまで進む人の割合が高い入口があれば、その入口に時間を寄せます。カートに入れたのに購入に至らない理由の切り分けはカゴ落ち対策|リカバリーメールの配信タイミングと効果の測り方、集めたあとの設計はECのリピート率の平均と上げ方|計算方法と最初にやる施策の順番EC客単価の上げ方|クロスセル・セット販売・送料無料ラインの順番で整理しています。

まとめ——順番を守り、続けられる量で、件数を見る

立ち上げ期の無料集客は、施策の数ではなく、着手する順番で決まります。①計測を入れる、②すでにある接点へ知らせる、③社名・ストア名で見つかる状態を作る、④商品名・型番・用途で見つけてもらう、⑤続けられる量で発信する。反応の早いものから手をつけ、週に使える時間に合わせて同時に動かす数を絞り、数が少ない間は率ではなく件数を週に1回見る。この進め方なら、広告費をかけずに、少人数体制でも積み上げられます。

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よくある質問

Q. 自社ECの集客は、広告なしでも成り立ちますか?
A. 成り立ちますが、時間がかかります。検索やSNSからの流入が安定するまでには半年〜1年ほどかかるのが一般的とされているため、その間の売上は、すでに自社を知っている取引先や既存顧客からの購入が中心になります。まずは既存の接点へ知らせて最初の注文をつくり、並行して商品ページと発信を積み上げる進め方が現実的です。広告は、どの入口の反応がよいかが分かってから、少額で検証する選択肢として後から加えられます。
Q. 立ち上げ直後は、まず何から始めればよいですか?
A. 最初にGA4とGoogleサーチコンソールを登録し、入口ごとにURLへ印(UTMパラメータ)を付けるルールを決めてください。そのうえで、取引先・既存顧客・名刺・メール署名といった、すでに持っている接点へ自社ECの開設を知らせます。コラム記事やSNSは、反応が返るまでの時間が最も長いため、これらが済んでから、続けられる量だけ始めるのがお勧めです。
Q. SNSは複数のサービスを同時に始めたほうがよいですか?
A. 立ち上げ期は1つに絞るのがお勧めです。同時に複数を始めると、担当者の時間が分散し、全部が止まってしまいやすいためです。自社の商材と相性がよく、取引先や購入者が普段使っているものを1つ選び、月単位で続けられる頻度を決めてから始めてください。反応を見て、余力ができたら増やします。
Q. アクセスが1日に数人しかないとき、何を見て判断すればよいですか?
A. 転換率などの率の指標は、1件の増減で大きく振れるため、この段階では判断材料になりません。週に1回、同じ曜日に、入口別の訪問数、商品ページまで進んだ人数、カートに入れた件数の3つを件数で見てください。8週間ほど続けても反応が0件か1桁のままの入口は、入れ替えの候補です。
Q. Googleに商品を無料で載せるには、どうすればよいですか?
A. 商品データをGoogle Merchant Centerへ登録すると、Google検索やショッピングタブなどに商品を無料で表示できる「無料リスティング」を利用できます。Shopifyでは、公式の「Google & YouTube」アプリで商品データを連携できます。掲載されても上位に表示される保証はなく、商品名・画像・価格・在庫が商品ページと一致しているなど、商品データが正確であることが前提です。
Q. 既存の取引先に、自社ECの開設を案内しても問題ありませんか?
A. 案内すること自体は可能ですが、取引先(小売店・販売店)から売り先を奪うものと受け取られないように、案内の前に配慮を決めておくことをお勧めします。自社ECの価格と取引先の店頭価格の関係、取扱店の案内を残すか、取引先向けの注文窓口を別に用意するかなどです。具体的な扱いは契約や取引条件によって変わるため、自社の取り決めに照らして確認してください。

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