公開日: 2026.06.06 / 最終更新日: 2026.10.21
Shopifyで自社ECを作るべき理由と費用|脱モールの判断基準
Shopifyで自社ECを作る理由を、モール手数料・顧客データ・ブランド表現の3点から説明します。Shopifyの月額料金と決済手数料、構築費の規模帯、モールから移るかを決める3つの数字も整理しました。
Shopifyで自社ECを作る理由は3つあります。モールの販売手数料がかからないこと、購入者に自社から連絡できること、商品ページをブランドの表現として自由に作れることです。費用は、Shopifyの月額料金と決済手数料、構築費、公開後の運用費の3つに分けて考えます。
ただし、どのブランドも今すぐ移るべきとは限りません。移るかどうかは、モール手数料の年額、自社で連絡できる顧客数、商品点数と在庫回転の3つの数字で決めます。以降は、理由、費用の内訳、判断基準、立ち上げ初期の集客の順に書きます。
Shopifyで自社ECを作る3つの理由
① モールの販売手数料がかからない。Amazonの販売手数料は商品カテゴリによって売上の8〜15%が中心です。楽天市場は月額出店料に加えて、システム利用料(がんばれ!プランで売上の3.5〜7.0%)と楽天ペイ利用料(2.5〜3.5%)がかかります。年商1億円をAmazonで売ると、販売手数料だけで年間800万〜1,500万円です。自社ECでも決済手数料はかかりますが、モールの販売手数料はかかりません。
② 購入者に自社から連絡できる。モールの購入者情報は、モールの規約の範囲でしか使えません。自社ECなら、購入者を自社のLINE公式アカウントやメルマガに案内して、リピート施策を打てます。モールに頼ったままでは、売上は立っても顧客との関係が自社に積み上がりません。
③ 商品ページをブランドの表現として作れる。モールの商品ページはフォーマットが決まっており、ブランドの空気感を伝えるには限界があります。自社ECは全ページをブランドの表現として設計できます。単価の高い商品ほど、この差が購入の判断に影響します。
Shopify自社ECにかかる費用の内訳
自社ECの費用は、Shopifyに払う固定費・変動費と、構築・運用にかかる費用に分かれます。モールと比べるときは、モールに払っている販売手数料の年額と、下の表の年額合計を並べます。本記事のShopifyの料金は、2026年10月時点の公式料金ページの表示です。プラン間の損益分岐の計算はShopifyの費用|月額料金・手数料・プラン比較に式とあわせて載せています。
| 費用の項目 | 内容 | 目安・確認先 |
|---|---|---|
| Shopifyの月額料金 | Basic・Grow・Advancedの3プラン(大規模向けにPlus) | 月払いでBasic 4,850円、Grow 13,500円、Advanced 58,500円。年払いならBasic 3,650円、Grow 10,100円、Advanced 44,000円。Plusは368,000円から |
| 決済手数料 | Shopifyペイメントでのカード決済にかかる料率 | 国内カードはBasic 3.55%、Grow 3.4%、Advanced 3.25% |
| 外部決済の取引手数料 | Shopifyペイメント以外の決済サービスを使う場合に追加 | Basic 2%、Grow 1%、Advanced 0.6% |
| アプリ費用 | レビュー、定期購入、在庫連携などの追加機能 | 使うアプリごとの月額を合計 |
| 構築費 | デザイン、商品登録、データ移行、システム連携 | 後述の3つの規模帯で大きく変わる |
| 運用費 | 広告、撮影、商品ページの更新、保守 | 社内で担うか外注するかで変わる |
見落としやすいのは決済手数料と運用費です。決済手数料はモールでもかかるため、比較の対象は販売手数料の部分になります。運用費は、公開後に誰が商品ページを更新し、誰が広告を回すかを決めないと見積もれません。
自社ECに今踏み切るべきか:3つの数字で判断する
「脱モール」は方向として正しくても、踏み切るタイミングを誤ると自社ECが重荷になります。次の3つを数えてから判断してください。
- モール手数料の年額:Amazonは販売手数料8〜15%、楽天はシステム利用料と楽天ペイ利用料で6〜10.5%+月額出店料。年商1億円をAmazonで売るなら販売手数料は年800〜1,500万円。この額で構築費(数十〜数百万円)を何か月で回収できるかが、投資判断の起点になる
- 自前で連絡できる顧客数:メール・LINE友だち・SNSフォロワーの実数。ここが厚いほど公開直後から売上が立ち、SEOの立ち上がり(6〜12ヶ月)を待たずに済む
- SKU数と在庫回転:商品が5〜10点で回転が遅いなら、構築費の回収に年単位かかる。この場合はモールで品揃えと規模を作るのが先
3つを書き出したら、手数料の年額が自社ECの年間の固定費(月額料金・アプリ費用・運用費)を上回っているかを確認します。上回っていないうちに移行すると、固定費が増えるのみで、利益は残りません。
Shopify自社EC構築の規模(3つの規模帯)
自社EC構築は、要件によって3つの規模帯に分かれるのが一般的です。小規模はテーマカスタマイズで手軽に始めたいブランド向け、中規模は既存ECからの移行・強化向け、大規模はフルカスタムと商品データの構造化まで含む本格構築向けです。規模を決めるのは商品点数より、既存データの状態(説明文や画像がどこまで揃っているか)と、基幹システムとの連携が必要かどうかです。
費用と成果の両方に影響するのが「商品データのAI整備」です。モールやBASE向けに書いた商品説明文は、自社ECのSEOやCVR(購入率)にはそのまま合わないことが多くあります。既存の説明文や画像データをAIで整形してから移せば、検索で見つけてもらえる状態で公開できます。この工程を省くと、サイトは完成しても検索に出にくく、注文につながらないことがあります。
商品数が多いブランドほど、この商品説明文の整形・最適化を1点ずつ人力で行うと、移行の工数が膨らみます。EC向けに商品説明文をAIで自動生成する手順や費用感は商品説明文のAI自動生成|EC向けの進め方・精度の上げ方・費用で説明しています。
とくにBASEからの移行を検討している場合、判断基準や費用感はモール(楽天・Amazon)からの移行とは異なります。詳しくはBASEからShopifyへ移行する方法|タイミング・費用・手順をあわせてご確認ください。
自社ECは公開して終わりではありません。売上データを見ながら商品ページや集客を改善する体制があってはじめて、モールから移した分の利益が積み上がります。構築費で比べる前に、公開後の保守と改善を誰が担うかを見積もりの段階で決めます。
3つの規模帯を図で比較する
小規模・中規模・大規模の3つの規模帯を図にすると、対応範囲の違いが一目で分かります。
規模の差は、テーマ調整だけで済むか、既存システムとの連携や商品データのAI整備まで含めるかで生まれます。自社の商品数・既存データの状態・連携したい社内システムの有無を洗い出し、どの帯に当たるかを見積もり時に照らし合わせます。そうすれば、契約後に想定外の追加費用が出る事態を防げます。
- 小規模帯は既存テーマを活かした調整が中心です。ゼロからのデザイン制作は含まれないことが多いため、見積もりの対応範囲に含まれているか確認します
- 中規模帯はアプリ連携・SEO設定の作業工数が加わります。既存ECからのデータ移行がある場合は、移行工数が見積もりに含まれているかを確認します
- 大規模帯は基幹システム連携や商品データのAI整備など、要件定義に時間のかかる工程が入るため、フルカスタムの範囲を最初にすり合わせると後戻りが減ります
- どの帯を選ぶ場合も、構築後の保守・グロース支援を別立てで確認します。構築費のみで比べると、公開後の費用が総額から抜け落ちます
自社ECが向いていないブランドのパターン
モールから離れたいブランドのすべてに、今すぐ自社ECが合うとは限りません。月商100万円未満でまだモールの新規流入に頼っている段階や、SKU数(商品の品目数)が5〜10点しかなく在庫回転が遅いケースでは、構築費用の回収に年単位かかります。この場合は、モールで売上と顧客リストを増やしながら、自社ECの準備を進めるほうが、資金の負担が小さく済みます。
自社EC立ち上げ初期の集客は、どこから手を付けるか
自社ECはモールと違い、サイトを公開しても、それだけでは人が来ません。集客の準備をせずに公開すると、サイトは完成したのに注文がない状態になりかねません。公開前に、最初の3か月で誰に知らせるかを決めます。
SEO(検索からの流入)は資産になりますが、成果が出るまで数ヶ月かかります。そのため立ち上げ初期は、すでに関係のある人から案内するのが定石です。既存顧客・名刺交換した相手・SNSのフォロワーに、まず自社ECの開設を知らせます。
- 既存客:メール・LINE・同梱チラシで自社ECへ案内(最も早く売上が立つ)
- SNS:InstagramやXで世界観を伝え、指名検索を育てる
- 広告:初速をつけたい時期に限って使う
- SEO:ブログや商品説明を厚くし、数ヶ月かけて検索流入を積む
モールを併用しながら自社ECを育てる二本立ても選べます。モールの集客力を使いつつ、利益率が高く顧客データも残る自社ECへ少しずつ主軸を移します。この進め方は楽天・Amazonからの移行でも説明しています。
楽天・AmazonからShopify自社ECに移行する方法を見るモール手数料の実額比較・移行の手順・費用相場を解説。モール依存脱却を検討中の方へ。ShopifyでBtoB(卸売)サイトを構築する完全手順を見る自社ECをBtoBにも展開したい方向け。要件定義・価格設計・受注フロー・運用KPIまでを網羅した構築ガイドです。モールから移るかどうかは、手数料の年額と自社ECの固定費を並べた試算で見えてきます。awaiはこの試算を作るところから入り、移る場合は規模帯の提案、Shopifyの構築、商品データの整備、公開後の集客と改善までを同じチームで担当します。
自社ECの「作り方」も「伸ばし方」も、30分の無料相談で一緒に整理します作り方・予算のかけ方・マーケの知見・広告運用のうち、どれか一つが欠けていても、良い商品は売上につながりません。現状のEC・SNS・顧客データをうかがい、どこから伴走を始めるべきかをその場でご案内します。よくある質問
- Q. 自社ECとモールを並走させる場合、在庫管理はどうすればいいですか?
- A. 在庫連携ツール(ネクストエンジン・TEMPOSTAR等)を使うことでShopify・楽天・Amazon等の在庫を一元管理できます。在庫連携なしで並走させると両方で売れたときの二重受注が起きます。在庫数が少ない商品(残1〜3点)は特に、連携設定を最初に確認してください。
- Q. 自社ECを立ち上げたあと、集客はどうすればいいですか?
- A. 自社ECはモールと違い、最初から集客施策が必要です。SEO・SNS広告・Googleショッピング・メールマーケティングが主な柱ですが、どれを優先するかはブランドの既存フォロワー規模・顧客数・予算によって変わります。既存顧客への案内で初速をつくり、並行してSEOを積むのが基本の順番です。ブランドの状況を見て、最初の半年の施策を決めるところから始めてください。
- Q. Shopifyで自社ECを構築する場合、完成までどのくらいかかりますか?
- A. 一般的な目安は、小規模(テーマカスタマイズ中心)で3〜4週間、中規模(アプリ連携・SEOまで)で6〜8週間、大規模(フルカスタム・システム連携)で3〜6ヶ月です。商品説明文と写真が揃っていれば想定内で進みます。商品データが未整備の状態から整備込みで進める場合は、1〜2ヶ月程度の追加を最初から見込んでおいてください。
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