公開日: 2026.09.09 / 最終更新日: 2026.10.21
ECのリピート率の平均と上げ方|計算方法と最初にやる施策の順番
ECのリピート率の平均値の見方と、自社の数字を12か月で計算する手順を解説。少人数体制で最初にやる施策の優先度、購入後メール・同梱物に書く内容、値引きに頼りすぎない考え方も示します。
ECのリピート率は、一般的な目安としてEC全体で30〜40%程度と言われることが多い指標です。ただし集計期間や「1件の顧客」の数え方で数字は大きく変わるため、平均値をそのまま目標にするより、自社の過去12か月の数字を同じ計算方法で出し、その推移を追うほうが判断に使えます。上げ方は、ツール導入や仕組みの変更が要らない購入後メールと同梱物の見直しから始め、運用が定着してから会員制度や定期購買に進む進め方が、少人数体制でも無理なく続きます。
メルマガ配信・ロイヤルティプログラム・パーソナライズといった打ち手を一度に並べると、手が足りなくなるうえ、どの施策に効果があったのかも分からなくなります。施策は、必要な体制と効果が出るまでの期間を比べ、負担の小さいものから1つずつ足すのが確実です。
ECのリピート率の平均と、そのまま目標にしない理由
リピート率とは、一定期間内に購入した顧客のうち、再度購入した顧客の割合を指す指標です。一般には「期間内に2回以上購入した顧客数 ÷ 期間内に購入した顧客数 × 100」で算出します。EC全体では30〜40%程度が目安とされ、消耗品や日用品のように定期的な購入が発生しやすい商材では、これより高い水準になることもあります。ただし、これらは市場全体の傾向を示す目安で、自社の実績と単純に比べる数字ではありません。平均と比べにくい理由は次の3つです。
- 集計期間の切り方で数値が変わる:月次で見た数字と年次で見た数字は、同じ顧客基盤でも別の値になる
- 「新規」と「リピート」の境界が曖昧になりやすい:法人の取引先が部署単位・担当者単位で注文する場合、同じ取引先でも数え方によってリピートとして扱われるかが変わる
- 業種による購入サイクルの差が大きい:消耗品と高単価の耐久財では、同じ期間で比べても意味のある比較にならない
自社の数字を確かめるときは、「何を1件の顧客として数えるか」「集計期間を何か月に区切るか」を、商材と取引形態に合わせて最初に決めます。他社の平均値と比べるより、この取り決めのほうが優先度の高い作業です。
自社のリピート率を出す5つの手順
平均値を眺めるより、自社の数字を一度出すほうが、次の打ち手を決めやすくなります。表計算で完結する手順です。
- ① 集計期間を決める:12か月を基本にする。月次で見ると、購入サイクルの長い商材では実態より低く出る
- ② 顧客を1件に名寄せする:メールアドレス、電話番号、会員IDのどれを軸にするかを決める。ゲスト購入が多い場合は、メールアドレスを軸にする
- ③ 期間内の購入回数を数える:2回以上購入した顧客の数 ÷ 期間内に購入した顧客の総数が、その期間のリピート率になる
- ④ 商品カテゴリ別にも出す:全体の数字より、カテゴリ別の差のほうが打ち手に直結する。リピートされている商品が分かれば、そこに同梱物やレビュー依頼を集中できる
- ⑤ 初回購入からの経過日数の分布を見る:2回目の購入が多い時期(例:30〜45日後)が分かると、フォローのメールを送る時期が決まる
⑤は、施策の時期を決める材料として役に立つ数字です。2回目購入が集中する時期の少し手前に購入後フォローを置くと、同じ内容のメールでも反応が変わります。顧客を名寄せする詳しい手順はEC顧客リストの活用法|名寄せの手順と最初に切る3つの区分も参考になります。
施策を一度に全部やろうとしない理由
リピート率を上げる打ち手には、購入体験の改善・返品対応の利便性向上・定期購入モデルの導入・パーソナライズ配信・ロイヤルティプログラム・アフターサービスの充実など、多くの種類があります。どれも間違った施策ではありませんが、専任の担当者がいない体制で同時に始めると、どの施策も中途半端な運用のまま止まります。一つひとつの施策は、配信内容の見直しや効果測定を続けて初めて成果につながります。体制に対して手を広げすぎることが、リピート施策が定着しない大きな原因です。
何から着手するか:体制別の優先度
限られた体制で始める場合は、新しいツールの導入や社内の仕組み変更を伴わない施策から着手し、運用が続くと分かってから次の施策へ広げます。
| 施策 | 必要な体制・準備 | 効果が出るまでの目安 |
|---|---|---|
| 購入後メール・同梱物の見直し | 既存の配信環境・印刷物の範囲で対応可能 | 比較的早い(1〜2か月程度) |
| レビュー依頼の仕組み化 | 依頼メールの文面とタイミングの設計のみ | 中期(2〜3か月程度) |
| ロイヤルティ・会員ランク制度 | 会員管理機能や外部ツールの導入が前提 | 長期(半年以上、継続運用が前提) |
| 定期購買・サブスクリプション化 | 商材適性の見極めと決済・配送の仕組み変更が必要 | 長期(商材の見直しを伴う) |
表の上から下に進むほど、必要な体制や投資が大きくなります。少人数体制の自社ECであれば、購入後メールの文面や同梱物といった、今ある仕組みの中で見直せる範囲から始めます。レビュー依頼の仕組み化で運用のリズムを作ったあとに、会員制度や定期購買のような体制投資を伴う施策を検討すると無理がありません。
最初の一歩|購入後メールと同梱物に何を書くか
表の一番上にある「購入後メール・同梱物の見直し」は、費用がほとんどかからず効果も早く出る施策ですが、何を書くかで結果が変わります。入れる内容は次の4つです。
- 使い方・活用のコツ:商品が届いた直後に最も読まれる。「思っていたのと違った」による返品や低評価を減らす効果もある
- 困ったときの連絡先:問い合わせ先が分かると、不満がレビューより先に問い合わせとして届く。評価を守るうえで大きな違いになる
- 次に買う時期の目安:消耗品なら「およそ◯週間で使い切ります」と書くと、再購入を思い出すきっかけになる
- レビューの依頼:商品が届いて使い始めた頃(商材によるが1〜2週間後)に1通送る。購入直後の依頼は、まだ使っていないため書いてもらえない
同梱物は紙1枚で十分です。凝った冊子より、上の4点を書いたA5の紙のほうが要点が一目で伝わり、印刷費も抑えられます。
値引き施策に頼りすぎないための考え方
リピーター向けの割引クーポンや次回購入時の値引きは、即効性があり始めやすいため、優先度を考えずに導入されることが多い施策です。値引きをきっかけに戻った顧客は次の値引きを待つようになり、クーポンの配布を止めるとリピート率も落ちやすくなります。加えて、値引きは粗利を直接削るため、リピート率は改善して見えても、利益が伴わない結果になりかねません。
値引きを否定する必要はありませんが、期間や対象顧客を絞って最初のきっかけ作りに限定します。購入体験や商品の使い勝手、レビューなど、値引き以外の理由で戻ってもらえる設計をあわせて進めると、リピート率が安定します。
まとめ:平均値より、自社の体制に合った一歩から
ECのリピート率は、市場の平均値を目標に据えるより、自社の顧客・商材に合わせて計算の取り決めを作り、今の体制で続けられる施策から着手するほうが成果につながります。購入後メールや同梱物の見直しから始め、運用が定着したことを確かめてから、会員制度や定期購買のような体制投資が必要な施策へ進みます。
得意先からの再注文を素早く済ませる設計はB2B ECの再注文機能|いつもの注文を1分にする4つの要件に、カート離脱への対策はカゴ落ち対策|リカバリーメールの配信タイミングと効果の測り方に手順があります。
手順①〜⑤の集計は、awai Buildが注文データから代わりに行えます。そのうえで購入後メールと同梱物の文面を見直し、会員制度や定期購買に進む時期も数字を見ながら判断します。支援の内容はawai Buildのサービス詳細にあります。
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- Q. ECのリピート率の平均はどのくらいですか?
- A. 一般的な目安として、EC全体では30〜40%程度と言われることが多く、消耗品や定期購入の多い商材ではこれより高くなる傾向があります。業種や商材によって幅が大きいため、市場平均と比べるより、自社の過去の数字の推移を確かめることを勧めます。
- Q. リピート率はどうやって計算すればいいですか?
- A. 集計期間を12か月に取り、期間内に2回以上購入した顧客数を、期間内に購入した顧客の総数で割ります。顧客を何で1件とみなすか(メールアドレス・電話番号・会員ID)を事前に決め、ゲスト購入が多い場合はメールアドレスを軸にします。法人の取引先を1件として数えるか担当者単位で数えるかでも数値が変わるため、社内で計算のルールを統一してください。あわせて商品カテゴリ別のリピート率と、初回購入から2回目購入までの日数の分布も出すと、フォローを送る時期まで決まります。
- Q. 一人体制でもリピート施策はできますか?
- A. できます。会員制度や定期購買のような仕組みは体制投資が必要ですが、購入後メールの文面見直しや同梱物の工夫、レビュー依頼の時期の調整は、既存の配信環境の範囲で始められます。
- Q. リピーター向けの割引・クーポンは避けるべきですか?
- A. 全面的に避ける必要はありません。ただし値引きに頼りきると、粗利を削り続けたり、クーポンをやめた途端にリピート率が落ちたりする点に注意が要ります。期間や対象を絞ってきっかけ作りに限定し、購入体験など値引き以外の理由で戻ってもらえる施策とあわせて検討します。
- Q. 最初に何から着手すればよいですか?
- A. 購入後メールと同梱物の見直しです。費用がほとんどかからず、1〜2か月で反応が見えます。書く内容は、使い方・活用のコツ、困ったときの連絡先、次に買う時期の目安、1〜2週間後のレビュー依頼の4点です。会員ランク制度や定期購買は仕組みの導入が必要になるため、購入後フォローの運用が定着してから検討します。
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