公開日: 2026.09.24 / 最終更新日: 2026.09.24

再入荷通知のEC活用|通知を出す前に決めることと在庫の押さえ方

在庫切れで注文を取りこぼさないために、自社ECの再入荷通知をどう設計するかを整理します。通知を出す前に決めておく項目、入荷予定が立たない商品の扱い、通知後に在庫が足りなくなる事故の防ぎ方まで、少人数でも運用できる手順で解説します。

商品が並ぶ棚のうち一枠だけが空いており、その手前に置かれた呼び鈴のベルから点線が右へ伸びて、待っている人の手元に届いた封書につながっている情景イラスト

主力商品が売り切れて、商品ページには在庫なしの表示だけが残っている。問い合わせフォームには「いつ入りますか」という短いメールが数件。再入荷はするつもりだけれど、時期は仕入れ先の返事待ち——自社ECを始めて間もない時期に、少人数のメーカー・卸が一度は通る状態です。ここで何もしないと、買う気のあった人はそのまま離れ、次に入荷しても戻ってきません。再入荷通知(在庫が戻ったときに、待っていたお客様へ自動で知らせる仕組み)は、この取りこぼしを減らすための機能です。ただし、アプリを入れてボタンを置けば済む話ではありません。この記事では、機能そのものよりも、通知を出す前に社内で決めておくこと、入荷の予定が立たない商品の扱い、通知した後に在庫が足りなくなる事故の防ぎ方を、兼務の担当者でも回せる形に整理します。

再入荷通知が取り戻すのは在庫ではなく「待ってもらえる時間」

在庫切れで失われるものは、その日の売上だけではありません。買う気のある人が商品ページにたどり着いた時点で、広告や検索からの集客はすでに済んでいます。そこで在庫がないと、集客の成果がそのまま消えるうえ、多くの場合その人は他店で同じ商品か代わりの商品を買います。つまり在庫切れは、売上の先送りではなく、一度きりの取りこぼしになりやすいということです。

再入荷通知の役割は、この取りこぼしを「待ち」に変えることです。連絡先を残してもらえれば、入荷までの数週間は、お客様との関係が切れていない状態になります。裏を返すと、再入荷通知は在庫を増やす仕組みではありません。入荷そのものを早める効果はないので、通知だけで欠品が解決することはない、という前提で組み立てます。仕入れの量やタイミングそのものを見直したい場合は、発注点や安全在庫といった在庫側の考え方をまとめた欠品対策は予兆管理から|発注点・安全在庫の計算式とチェック表が参考になります。この記事が扱うのは、あくまでお客様への知らせ方——顧客接点の側です。

もうひとつ、少人数の現場にとって見落としやすい効果があります。通知の受付を置くと、「いつ入りますか」という個別の問い合わせが減ります。問い合わせ1件あたりの返信には、在庫の確認と文面づくりで数分から十数分かかります。件数が増えるほど、兼務の担当者の時間を静かに削っていく種類の業務です。受付フォームは、その手間を自動化する窓口でもあります。

通知を出す前に決める6つのこと|アプリを入れるのはその後

再入荷通知は、多くのカートサービスで標準機能か追加アプリとして用意されています。設定そのものは難しくありません。運用が崩れるのは、機能を入れる前に決めておくべきことを決めないまま公開したときです。次の6つを先に決めてください。

再入荷通知の流れを4段階で示した図。在庫切れのページで受け付ける、入荷の見込みを社内で決める、入荷時に配信する、届いた人が買える状態にする、の各段階について、配信より前に決めておく取り決めを下段に並べている
決めること決めないまま始めると起きること決め方の目安
受付を置く商品の範囲終売品にも受付が残り、届かない通知を待たせてしまう再入荷の意思がある商品だけに置く。終売・廃番は受付を外す
入荷見込みの伝え方「いつ入りますか」の問い合わせが受付後も減らない確定・見込み・未定の3段階で、ページ上の表記を先に決めておく
通知を送る在庫数の下限数点の入荷で数十人へ配信し、大半が買えない登録者数に対して用意できる数を確認してから配信する
配信から販売開始までの間隔通知を見て来たのに、まだ購入ボタンが押せない在庫を反映してから配信する。予約販売なら開始時刻を明記する
1人あたりの購入上限転売目的の一括購入で、待っていた人に行き渡らない数量限定の入荷では、1人1点などの上限をページに明記する
登録情報の扱い通知以外の配信へ流用し、解除や苦情につながる通知目的に限るのか、メルマガ登録を兼ねるのかを受付画面に明示する
再入荷通知を公開する前に決めておく6項目

この6つのうち、後から直すのが最も難しいのは「登録情報の扱い」です。再入荷の連絡だけのつもりで登録した人へ、別の商品の案内やセールの案内が届くと、配信停止だけでなく、店への印象そのものが下がります。受付画面に、通知の目的と、メールマガジンを兼ねる場合はその旨を明記してください。兼ねる設計にするなら、チェックボックスで本人に選んでもらう形が無難です。配信の頻度や内容の考え方はECメルマガ開封率の平均と上げ方|件名と配信時間の見直し方で整理しています。

入荷予定が立たない商品をどう扱うか|「未定」を隠さない

実務でいちばん困るのは、再入荷はするつもりだが時期が読めない商品です。原材料の調達待ち、海外からの輸送待ち、製造ロットがまとまるまで動かせない——メーカーや卸の商材では珍しくありません。ここで「近日入荷」とだけ書くと、1週間後には問い合わせが戻ってきます。

お勧めは、入荷の確度を3段階に分けて、ページ上の表記をあらかじめ固定してしまう方法です。担当者が毎回言葉を選ばずに済み、誰が更新しても表記が揺れません。

  • 確定(入荷日が分かっている):「◯月◯日ごろ入荷予定」と日付を書き、通知の受付を置く。日付が動いたときは、受付済みの人へ一度お詫びと新しい見込みを送る
  • 見込み(月単位で読める):「◯月中旬ごろの入荷を見込んでいます」と幅を持たせて書く。日付を書かないことが不誠実になるわけではなく、幅で書くほうが後から訂正せずに済みます
  • 未定(時期が読めない):「次回の入荷時期は未定です。入荷が決まり次第このページでお知らせします」と正直に書いたうえで、通知の受付は置く。時期が読めないからこそ、自力で見に来てもらう前提にしないほうが取りこぼしが減ります

再入荷の意思がない終売品は、これとは別に扱います。受付を残すと、永遠に来ない通知を待たせることになるためです。商品ページ自体は、代わりになる商品への案内を置いたうえで残す選択肢があります。その商品名で調べてたどり着いた人に、別の商品を見てもらえるからです。販売終了であることをページ上で明示し、後継品や近い規格の商品へのリンクを置いてください。ページを消すか残すかは、その商品名で実際に検索からの訪問があるかどうかで判断すると迷いません。

なお、入荷が読めない理由が「そもそも在庫の数字が正しくない」ことにある場合は、通知の設計より前に見るところがあります。複数のモールと自社ECを併売していて数字が合わないケースの原因と対処は複数モールの在庫連携を自動化する方法|在庫ズレの原因とマスタ統合にまとめています。

通知したのに買えない事故を防ぐ|配信と在庫のずれが苦情になる

再入荷通知でいちばん起きやすい事故は、「通知が届いたので開いたら、もう売り切れていた」です。待っていた人に不快な思いをさせるうえ、次から通知に登録してもらえなくなります。原因はだいたい次の3つに集約されます。

  • 登録者数に対して入荷数が少なすぎる:50人が待っている商品に10点を入荷して全員へ一斉配信すれば、40人は買えません。数が足りないときは、配信を分けるか、入荷数をページに明記して先着であることを伝えます
  • 在庫を反映する前に配信してしまう:入荷処理と配信のどちらが先かを決めていないと、通知を見た人が購入ボタンを押せない状態になります。在庫数を反映し、購入できることを自分で確認してから配信する順番を固定してください
  • 他の販路と在庫を共有している:モールや実店舗と同じ在庫を持っている場合、通知を出した直後に別の販路で売れてしまうことがあります。通知用に一定数を取り置く運用にするか、自社EC分として配分を決めておきます

対策としてまず効くのは、配信の時刻を決めることです。入荷処理を終えた日の夜や、翌朝の決まった時間に配信すると決めておけば、在庫反映と配信の前後が入れ替わりません。数が少ない入荷では、一度に全員へ送らず、登録の早い順に分けて送る方法もあります。カートサービスやアプリによって配信の分割ができるかは異なるため、利用中のサービスでできることを先に確認してください。

それでも売り切れてしまったときのために、文面にひと言添えておくと印象が変わります。「数に限りがあるため、売り切れの際はご容赦ください」「次回の入荷が決まりましたら、あらためてご連絡します」といった一文です。買えなかった人の登録を残す設計にしておけば、次の入荷につなげられます。

知らせ方の選び方|届く速さと商材の相性で分ける

通知の手段は、メール、LINE、SMS、アプリのプッシュ通知などがあります。どれが優れているかではなく、その商品が「何分以内に動いてもらう必要があるか」で選びます。数量が潤沢で数日かけて売れていく商品ならメールで十分ですし、数点しか入らない人気商品は、開かれるまでの速さが結果を左右します。

手段向く場面注意点
メール入荷数に余裕がある商品。受付のハードルが最も低く、連絡先を残してもらいやすい受信箱で埋もれると数時間〜翌日以降に開かれる。件名に商品名を入れる
LINE個人向けの商材で、友だち登録がすでにある場合。開封までが速い友だち登録が前提になるため、登録していない人には届かない
SMS数量が限られ、短時間で判断してもらう必要がある商品1通ごとに費用がかかる。頻度が多いと迷惑と受け取られやすい
アプリのプッシュ通知自社アプリがあり、リピート購入の多い商材アプリを持っている人にしか届かない。新規の取りこぼしは防げない
再入荷の知らせ方の比較(届くまでの速さ・開封までの時間は一般的な目安)

少人数で始めるなら、まずはメールの受付だけを置くのが現実的です。ほとんどのカートサービスで追加の作り込みなしに使え、登録のハードルも低いためです。そのうえで、LINE公式アカウントをすでに運用しているなら、再入荷の案内を配信の一種として組み込む形が手間を増やしません。友だち集めや配信設計の進め方はLINE公式アカウントのEC活用|友だち集め・配信設計・費用で整理しています。

文面は長くする必要がありません。待っていた人にとって必要なのは、どの商品が、いつから、どこで買えるか、の3点です。件名に商品名を入れ、本文の先頭に商品ページへのリンクを置いてください。おすすめ商品を並べたり、他のキャンペーンを詰め込んだりすると、肝心のリンクが下に押し下げられます。

集まったリクエストを次の発注と商品ページへ戻す

再入荷通知の受付には、副産物があります。どの商品に、何人が、どのサイズや色で待っているかという数字です。これは問い合わせの件数よりも正確な、需要の手がかりになります。売れた数は在庫があった分しか分かりませんが、待っている人の数は、在庫がなかった間の需要を表しているからです。

  • 次回の発注量の材料にする:登録者数が多い商品は、次の発注で数を増やす候補になります。ただし登録者の全員が買うわけではないため、実際の購入率は自社の過去の配信で確かめてください
  • サイズ・色の内訳を見る:同じ商品でも、特定のサイズや色だけに登録が集中していることがあります。次の発注で構成比を変える判断材料になります
  • 商品ページの改善に使う:登録は多いのに配信後の購入が少ない商品は、価格や納期、説明の不足が原因かもしれません。購入まで進まない理由の切り分けはカゴ落ち対策|リカバリーメールの配信タイミングと効果の測り方の考え方が応用できます

見る頻度は、月に一度で十分です。登録者数の上位5商品と、配信後にどれだけ購入されたかを並べるだけで、次に何を多く仕入れるかの会話が具体的になります。表計算に手で書き写す程度の運用で構いません。最初から仕組み化しようとすると、兼務の担当者では続かなくなります。

まとめ——受付を置く前に決め、在庫を確かめてから送る

再入荷通知は、機能としては簡単に導入できます。差が出るのは、公開する前に決めておくことと、配信の手前で在庫を確かめる手順のほうです。受付を置く商品の範囲、入荷見込みの3段階の書き分け、配信する在庫数の下限、配信と販売開始の順番、1人あたりの購入上限、登録情報の扱い——この6つを先に決めておけば、通知が苦情の入口になることはほとんどありません。そのうえで、集まった登録者数を月に一度だけ見返し、次の発注と商品ページに戻す。在庫を増やせない時期でも、待ってもらえる関係は積み上げられます。

公開したばかりの自社ECで、そもそも商品ページへの訪問が少ない段階であれば、通知の設計より先に入口を整えるほうが効きます。着手の順番は自社ECの集客を無料で始める方法|立ち上げ期の施策と着手する順番にまとめています。構築から運用までを一緒に整理したい場合は、awai Buildのサービス詳細でご確認いただけます。

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よくある質問

Q. 再入荷通知は、どんな商品に置くと効果がありますか?
A. 再入荷する意思があり、かつ売り切れが繰り返し起きる商品に置くと効果が出やすくなります。逆に、終売品や、次の入荷がない季節限定品に受付を残すと、届かない通知を待たせることになるため外してください。まずは直近で在庫切れを起こした主力商品から順に置き、登録がどれだけ集まるかを見てから範囲を広げるのがお勧めです。
Q. 入荷の時期が読めない商品でも、通知の受付を置いてよいですか?
A. 置いて構いません。むしろ時期が読めない商品ほど、お客様が自力で見に来てくれる可能性は低いため、連絡先を預かっておく価値があります。ページには「次回の入荷時期は未定です。決まり次第このページでお知らせします」と正直に書いてください。曖昧に「近日入荷」と書くと、数日後に問い合わせが戻ってきます。
Q. 通知を出したらすぐ売り切れて、買えなかった人から苦情が来ませんか?
A. 入荷数に対して登録者が多いときは起こり得ます。防ぎ方は3つあります。1つ目は、入荷数をページと通知の文面に明記して先着であることを伝えること。2つ目は、登録の早い順に配信を分けること。3つ目は、1人あたりの購入上限を設けることです。あわせて「数に限りがあるため売り切れの際はご容赦ください」の一文を入れておくと、受け取られ方が変わります。
Q. 通知はメールとLINEのどちらがよいですか?
A. 入荷数に余裕がある商品はメール、数点しか入らず短時間で判断してもらう必要がある商品は、開封までが速いLINEやSMSが向きます。ただしLINEは友だち登録が前提になるため、まだ登録していない見込み客には届きません。少人数で始めるなら、受付のハードルが最も低いメールから置き、LINE公式アカウントをすでに運用している場合に配信の一種として足すのが現実的です。
Q. 在庫切れの商品ページは、削除したほうがよいですか?
A. 再入荷する予定があるなら残してください。ページを消すと、その商品名で調べた人が自社ECにたどり着けなくなり、入荷しても訪問が戻るまで時間がかかります。在庫がないことをページ上で明示し、再入荷通知の受付と、代わりになる商品への案内を置くのが基本形です。終売品の場合も、その商品名での訪問が実際にあるなら、販売終了である旨と後継品への案内を置いて残す選択肢があります。
Q. 再入荷通知に登録した人へ、他の商品の案内も送ってよいですか?
A. 受付の時点で明示していないなら送らないほうが安全です。再入荷の連絡だけのつもりで登録した人に別の案内が届くと、配信停止だけでなく店への印象も下がります。メールマガジンを兼ねたい場合は、受付画面にその旨を書き、チェックボックスで本人に選んでもらう形にしてください。登録の目的と配信の範囲を一致させておくことが、次の入荷でも登録してもらえる条件になります。

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