公開日: 2026.10.21 / 最終更新日: 2026.10.21
Shopify保守契約の内容|範囲・対応時間・契約書で決める項目
Shopifyの保守契約の内容を見直したい方向けに、「保守」「運用」「改善」の違いを定義したうえで、作業範囲・対応時間・緊急時の連絡経路・作業枠の繰越・範囲外作業・成果物の権利・解約条件・レポートの8項目を契約書にどう書くかを整理します。
制作会社と保守契約を結んでいるのに、何を頼めて何を頼めないのかがはっきりしない。依頼のたびに「それは範囲外です」と言われる。あるいは逆に、障害が起きたときに誰がいつまでに動くのかが決まっていない——Shopifyの保守でこうした困り事が起きるとき、原因の多くは制作会社の姿勢ではなく、契約書に決めるべき項目が書かれていないことにあります。この記事では、Shopifyの保守契約で決めるべき8つの項目を一覧にし、その前提として「保守」「運用」「改善」の違いを定義したうえで、今の契約書をどう見直すかを整理します。
「保守」「運用」「改善」の違い|言葉を揃えないと範囲は決まらない
保守契約の範囲が曖昧になる最初の原因は、「保守」という言葉が指す範囲が、自社と制作会社で違うことです。自社は「ECに関わる作業を全部見てくれる」と思い、制作会社は「壊れないように守る」ことだけを指している、というずれはよくあります。契約書を読む前に、次の3つの言葉を揃えておきます。
| 言葉 | 目的 | 代表的な作業 | 保守契約に含まれるか |
|---|---|---|---|
| 保守 | 今の状態を守る(壊れない・止まらない) | 障害対応、テーマ・アプリの更新への追従、テーマのバックアップ、問い合わせ窓口 | 含まれるのが前提 |
| 運用 | 日々の販売を回す | 商品登録、バナー差し替え、クーポン設定、メール配信、配送・在庫まわりの設定変更 | 含む場合と含まない場合がある。月の作業枠として含むことが多い |
| 改善 | 売上を伸ばす | 計測の整備、商品ページの改修、導線の見直し、広告・SNSの運用 | 含まれないのが普通。別契約や伴走支援の領域 |
この整理で分かるのは、「保守費用を払っているのに売上が伸びない」という不満は、改善が契約に含まれていない以上、契約どおりの結果だということです。制作会社を責める話ではなく、自社が何を買っているのかを言葉で確かめる話です。保守と運用の境目をどこに置くかは、次に見る作業範囲の項目で決めます。
保守契約で決める8つの項目|契約書のどこに何を書くか
Shopifyの保守契約で決めておくべき項目は8つあります。「何をやるか」「どう動くか」「どう終わるか」の3つのまとまりで見ると、抜けが見つけやすくなります。
| 項目 | 決めること | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
| ①作業範囲 | 含む作業と含まない作業の一覧。「軽微な修正」の定義 | 依頼のたびに範囲の解釈で揉める |
| ②対応時間・一次回答の目安 | 受付の曜日・時間帯。一次回答までの目安と完了までの目安 | 「返事が遅い」が主観の争いになる |
| ③緊急時の連絡経路 | 購入できない・表示されないなどの障害時の連絡手段、受ける人、時間外の扱い | 障害時にメールを送って待つだけになる |
| ④月の作業枠の繰越 | 余った枠を翌月に繰り越せるか、上限は何か、超過時の扱い | 使わなかった分が消える。超過分が思わぬ請求になる |
| ⑤範囲外作業の扱い | 見積もりの基準(時間単価か案件単位か)、範囲外と判断する人、承認の手順 | 都度見積もりが続き、小さな修正が止まる |
| ⑥成果物の権利 | テーマのカスタムコード・画像・文章の権利が自社にあるか。契約終了後も使えるか | 乗り換え時にコードや素材を持ち出せない |
| ⑦解約条件 | 予告期間、最低契約期間、契約終了時に引き渡すもの | 辞めたいときに辞められない。引き渡しが曖昧になる |
| ⑧レポート | 月次で報告する内容(作業記録・残り枠・更新状況・障害の記録)と形式 | 何をしてもらっているかが見えない |
8項目のうち、今の契約書に書かれているものがいくつあるかを数えてみてください。半分以下であれば、不満の原因は制作会社ではなく契約書にあると考えてよい状態です。以下では、揉めやすい順に書き方を見ていきます。
作業範囲の書き方|「含まない作業」を先に決める
作業範囲は、含む作業の一覧だけを書くと、一覧にない作業の扱いが宙に浮きます。先に「含まない作業」を明記し、次に含む作業を保守と運用に分けて書き、最後に「軽微な修正」の定義を加える順番にすると、解釈の余地が減ります。
- 含まない作業の例:新しいページや機能の追加、アプリの新規導入と設定、外部システムとの連携、デザインの刷新、広告・SNS・メール配信の運用。これらは範囲外作業として⑤の手順に回す
- 含む作業の例(保守):障害の一次対応と復旧、Shopify本体・テーマ・アプリの更新情報の確認と更新作業、更新前のテーマのバックアップ(複製)、問い合わせ窓口
- 含む作業の例(運用・作業枠内):文言・画像・バナーの差し替え、商品ページの軽微な修正、クーポン・配送設定の変更
- 「軽微な修正」の定義:「テーマエディタの設定変更で完結し、コードの変更を伴わないもの」「○時間以内で完了する見込みのもの」のように、どちらの側でも判断できる基準で書く
あわせて、自社でやる作業も書いておきます。商品登録やブログ更新を自社で行うなら、そのために必要な権限(スタッフアカウントの権限、制作会社に渡すコラボレーターアカウントの範囲)も同じ文書で決めておくと、「誰がやるのか」の空白がなくなります。本記事執筆時点の公式ヘルプでは、テーマは更新の前に複製してバックアップを取ることが案内されているため、更新作業を含む契約ではバックアップの手順まで作業範囲に入れておくと安心です。
対応時間・一次回答の目安・緊急時の連絡経路の決め方
「すぐ対応します」は、決めたことになりません。対応時間は、受付の曜日・時間帯と、一次回答(受け付けた・いつまでに着手するかの返事)と完了を分けて決めます。すべての依頼に同じ目安を置くのではなく、優先度を3つ程度に区分し、区分ごとに連絡経路と一次回答の目安を変えるのが実務的です。
- 障害(購入できない・サイトが表示されない・決済エラー):連絡経路は電話またはチャットなど即時性のある手段。一次回答は時間単位で決める。時間外・休日の扱いもここで決める
- 期限あり(セール開始・キャンペーンのバナー・価格改定):依頼時に期限を明記する前提で、一次回答は営業日単位で決める。期限に間に合わない場合の連絡義務も書く
- 通常(文言修正・軽微な改修):月の作業枠内で順番に対応。一次回答は営業日単位、完了は枠の消化状況による
緊急時の連絡経路で見落としやすいのが、担当者が1人しかいない場合の代替連絡先です。担当者の休暇や退職で連絡が途絶えるのは、制作会社の規模にかかわらず起こります。代替連絡先と、連絡が取れないときに自社が取ってよい行動(たとえばShopifyのサポートへ直接問い合わせる、テーマを直前のバックアップに戻す)まで決めておくと、障害時に待つだけの状態を避けられます。返事が遅い状態がすでに続いている場合の原因の切り分けと催促の仕方は、Shopify制作会社の対応が遅い|原因の切り分けと催促の仕方で扱っています。
作業枠の繰越と範囲外作業の扱い|追加費用の揉め事を減らす
月の作業枠がある契約では、余った枠の扱いと、枠を超えたときの扱いの両方を決めます。繰越は「翌月まで・上限は1か月分」のように期間と上限を書き、超過は「事前に見積もりと承認を経てから着手する」と書いておくと、月末に思わぬ請求が来ることがなくなります。月額保守が時間制・定額の範囲制・都度見積もりのどの型かで繰越の考え方も変わるため、型の違いはShopify保守費用の相場|月額に何が含まれるかの確認点で確かめておいてください。
範囲外作業は、見積もりの基準(時間単価か案件単位か)、範囲外と判断する人、承認の手順(見積もり提示→自社承認→着手)の3点を書きます。あわせて、小さな依頼を月に1回まとめて出す運用を契約に添えておくと、見積もりの回数が減り、制作会社側も段取りしやすくなります。範囲外の判断を制作会社だけに委ねると、自社からは基準が見えません。判断に迷う作業が出たら、その都度「軽微な修正」の定義に例として追記していくと、契約が実態に合っていきます。
成果物の権利・レポート・解約条件|終わり方を先に決める
契約を結ぶときに一番決めにくく、終わるときに一番困るのが、この3項目です。成果物の権利では、テーマに加えたカスタムコード、制作した画像・文章、各種の設定情報について、権利が自社にあること、契約終了後も自社が使い続けられることを明記します。Shopifyのストア自体はストアオーナーの管理下にあり、本記事執筆時点の公式ヘルプでは、テーマのコードは管理画面からダウンロードできますが、そのコードを自社や次の制作会社が改変・再利用してよいかは契約で決める事柄です。ここが曖昧だと、乗り換えのときにコードの説明を受けられない、素材の元データが手に入らない、といった形で跳ね返ります。
レポートは、月次で「作業記録」「残り枠」「更新状況(テーマ・アプリ・Shopify本体の変更への追従)」「障害の記録」を報告してもらう形式を決めます。レポートがない契約では、含まれている作業が実際に行われたかを自社から確かめる手段がありません。解約条件は、予告期間、最低契約期間、契約終了時に引き渡すもの(テーマのコード、アプリの一覧と契約名義、外部サービスの認証情報、画像素材、運用の説明)と引き渡し期間を書きます。引き渡しの具体的な一覧と手順は、Shopify保守の解約と引き渡し|契約終了時に受け取るもの一覧にまとめています。
今の契約書を見直す手順|まず8項目に印をつける
契約書を一から作り直す必要はありません。今の契約書・見積書・発注書を手元に揃え、次の手順で進めます。
- 8項目それぞれについて、「書いてある」「書いていない」「曖昧」のどれかに印をつける
- 「書いていない」項目は、現状どう運用されているかを制作会社に確認し、その内容を文面にして双方で合意する(契約書の改訂を待たず、覚書やメールでよい)
- 「曖昧」な項目は、直近に揉めた依頼を例にして、どちらの側でも判断できる基準に書き直す
- 契約期間の満了や更新のタイミングで、合意した内容を契約書本体に反映する
この手順は制作会社側にとっても助かるものです。範囲が決まれば見積もりの手間が減り、対応時間が決まれば催促に追われずに済みます。保守契約は制作会社を縛るためのものではなく、双方が同じ前提で動くための道具だと伝えると、話し合いは進みやすくなります。テーマやアプリの更新を誰がいつやるかのように、保守の中でも役割分担を細かく決めたい項目は、Shopifyテーマ更新の保守|アプリ更新の担当と時期の決め方で扱っています。
まとめ|契約書に書かれていない項目は「含まれていない」
Shopifyの保守契約で決めるべきことは、作業範囲、対応時間と一次回答の目安、緊急時の連絡経路、月の作業枠の繰越、範囲外作業の扱い、成果物の権利、解約条件、レポートの8項目です。その前提として、保守・運用・改善の言葉を揃え、自社が何を買っているのかを確かめます。契約書に書かれていない項目は「含まれていない」と考え、書いていないものから順に文面にしていけば、依頼のたびに範囲で揉める状態も、障害時に待つだけの状態も、契約の構造から解消できます。
月額保守の型と含まれる作業の確認点はShopify保守費用の相場|月額に何が含まれるかの確認点、返事が遅いときの切り分けはShopify制作会社の対応が遅い|原因の切り分けと催促の仕方、更新作業の役割分担はShopifyテーマ更新の保守|アプリ更新の担当と時期の決め方、契約終了時の引き渡しはShopify保守の解約と引き渡し|契約終了時に受け取るもの一覧で扱っています。保守・運用にとどまらず、EC開発からマーケ・データ分析まで一気通貫で伴走する体制を探している場合は、awai Buildのサービス詳細をご覧ください。料金は構築費+月額(3プラン)+売上連動の組み合わせで、作業範囲と対応時間は契約時に文面でお示しします。
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- Q. 保守契約に「運用」や「改善」の作業は含まれますか?
- A. 一般的な目安として、保守(障害対応・更新への追従・バックアップ・窓口)は含まれ、運用(商品登録やバナー差し替えなど)は月の作業枠として含む場合と含まない場合があり、改善(計測・商品ページ改修・集客)は含まれないのが普通です。自社の契約がどこまでを指しているかは、作業範囲の条文で確かめてください。
- Q. 対応時間や一次回答の目安は、どのくらいに決めればよいですか?
- A. 依頼を障害・期限あり・通常の3つに区分し、障害は時間単位、それ以外は営業日単位で一次回答の目安を置くのが実務的です。具体的な数字は制作会社の体制によるため、まず現状の実績を聞き、守れる水準で文面にすることを優先してください。
- Q. 月の作業枠が余った分は、翌月に繰り越せますか?
- A. 契約次第です。繰越できるかどうか、できる場合の期間と上限、超過したときの扱いは、契約書に書かれていなければ決まっていないのと同じです。繰越を希望するなら、「翌月まで・上限1か月分」のように期間と上限を添えて提案してください。
- Q. テーマのカスタムコードや画像の権利は、誰のものになりますか?
- A. 契約で決める事柄です。ストア自体はストアオーナーの管理下にあり、テーマのコードは管理画面からダウンロードできますが、コードの改変・再利用や、制作した画像・文章を契約終了後も使えるかは、成果物の権利の条文に明記しておく必要があります。
- Q. 契約書がなく、口頭やメールだけで保守を頼んでいます。どうすればよいですか?
- A. いきなり契約書を求めるより、8項目についてメールで現状を確認し、返ってきた内容を双方で合意した文面(覚書)として残すところから始めてください。書いていない項目は含まれていないものとして扱い、必要なものから順に文面にしていけば、契約書がなくても範囲の揉め事は減らせます。
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