公開日: 2026.06.11 / 最終更新日: 2026.06.11

売れ筋・死に筋分析のやり方。「なんとなく売れている」を数字で確かめる

売れ筋・死に筋の判断を勘に頼っていませんか。ABC分析と交差比率を使い、商品別の売上・粗利・在庫効率から売れ筋と死に筋を数字で見分ける手順を、5つのステップとつまずきポイントで解説します。

商品群を売上と粗利の軸で並べ替え、売れ筋と死に筋が浮かび上がる分析プロセスのイメージ図

「あの商品はよく出ている」「これはあまり動かない」——現場の肌感覚は貴重ですが、肌感覚だけで品揃えや仕入れを決めると、2つの罠にはまります。よく売れているが儲かっていない商品を増やしてしまう罠と、静かに稼いでいる商品を切ってしまう罠です。

この記事では、売れ筋・死に筋を数字で確かめる手順を5つのステップで解説します。使う道具はABC分析と交差比率という教科書的な手法ですが、実務でつまずくポイントは教科書に書かれていません。各ステップにそのつまずきどころを添えます。

全体像:5つのステップ

  • STEP1:商品別の売上・粗利・在庫データを揃える
  • STEP2:ABC分析で「売上の顔ぶれ」と「粗利の顔ぶれ」を分けて見る
  • STEP3:交差比率で在庫効率を測り、死に筋の候補を挙げる
  • STEP4:死に筋候補を機械的に切らず、役割を確認してから処分を決める
  • STEP5:四半期ごとの定例に組み込み、一回きりで終わらせない

STEP1:商品別の売上・粗利・在庫データを揃える

分析の材料は3つ。商品別の売上高、商品別の粗利、商品別の平均在庫です。期間は季節性をならすため、最低でも直近6ヶ月、できれば12ヶ月分を用意します。

つまずきポイントは、商品コードの不統一です。同じ商品が販売システムと在庫システムで別コードになっている、規格違いが同一コードに混ざっている——この状態で集計すると結果が信用できません。完璧を目指す必要はなく、売上上位の主要商品からコードを揃えれば分析は始められます。

STEP2:ABC分析は「売上」と「粗利」の2回やる

ABC分析とは、商品を売上の大きい順に並べ、累計で全体の7割を占めるまでをA、9割まででB、残りをCと区分する手法です。多くの場合、上位2割ほどの商品が売上の大半を占める構造が見えてきます。

ここでのつまずきは、売上だけでABC分析を終えてしまうことです。必ず粗利額でも同じ分析を行い、2つの結果を突き合わせてください。売上ではAなのに粗利ではCという商品は「よく出るが儲からない商品」であり、値付けか仕入条件の見直し対象です。逆に売上Bでも粗利Aなら、それは静かな稼ぎ頭です。

売上のABC区分と粗利のABC区分を縦横に組み合わせたマトリクスで、看板商品・静かな稼ぎ頭・見直し対象・死に筋候補を仕分ける図
売上と粗利のABC区分を掛け合わせると、商品の本当の顔ぶれが見えてくる

STEP3:交差比率で「在庫の働き」を測る

交差比率は、粗利率に在庫回転率(一定期間に在庫が何回入れ替わったか)を掛けた指標です。意味を意思決定の言葉に直すと「在庫に寝かせたお金が、どれだけ働いて粗利を持ち帰ってくるか」。粗利率が高くても回転が極端に遅ければ、その在庫は倉庫で眠っているお金です。

数値にすると直感に反する結果が出ます。たとえば粗利率30%で在庫回転が年6回の商品は交差比率180、粗利率50%でも回転が年1回の商品は交差比率50。粗利率だけ見れば後者が優等生ですが、在庫の働きで見ると前者が3倍以上稼いでいます。「高粗利だから残す」という判断が、実は倉庫をお金で埋めているだけ、というのは珍しくありません。

交差比率が低く、売上・粗利のABC分析でもC区分に沈む商品が、死に筋の有力候補になります。つまずきポイントは、発売直後の商品や意図的に在庫を厚くした商品まで機械的に死に筋と判定してしまうこと。数字は候補を挙げるまでで、判定はSTEP4に委ねます。

STEP4:死に筋候補は「役割」を確認してから切る

候補に挙がった商品について、数字に表れない役割を確認します。主力商品と一緒に買われる付属品ではないか。特定の重要顧客のための品ではないか。品揃えの幅を見せる役割はないか。役割が確認できなければ、値下げ処分・仕入停止・自然消化のいずれかを決め、決めた期日で実行します。「いつか売れるかもしれない」と保留にすることが、死に筋分析の最大の敵です。

STEP5:四半期ごとの定例にする

売れ筋・死に筋は入れ替わります。一度きりの大掃除で終わらせず、四半期に一度、同じ手順で見直す定例に組み込んでください。つまずきポイントは集計作業の重さです。初回はExcelで数日かかった集計が毎回発生するなら、定例化は続きません。

売れ筋・死に筋分析で、現場が言わない3つの本音

手法の解説には出てこない、実務でだけ効く本音を3つ挙げます。

  • 「死に筋はすぐ切れ」は乱暴すぎる。数字だけで切ると、主力と一緒に買われる付属品や、来店動機になっている商品まで消え、客数ごと落ちることがある。切る前に、その商品の役割を1行で言えるかを問う
  • ABC分析を売上だけで回すと、必ず「よく売れる不採算品」を増やしてしまう。売上はAなのに粗利はCという商品は、扱うほど忙しくなって儲からない、最も危険な優等生。粗利のABCと必ず突き合わせる
  • 分析を「年1回の大掃除」にした瞬間、形骸化する。売れ筋・死に筋は毎四半期入れ替わるので、手集計に数日かかる状態では、二度目からやらなくなる

共通するのは、数字は「候補を挙げるまで」で、切る・残す・育てるの最終判断は人が役割を見て決める、という線引きです。この線を引けている会社ほど、分析が実際の品揃え改善に直結します。

ここが仕組み化のしどころです。awai Compassは、販売・在庫・会計に散らばったデータを集めて整える作業を外に出し、売上×粗利のマトリクスや交差比率が常に最新の状態で見られる環境をつくります。分析の手を動かすのではなく、切る・残す・育てるの判断に経営者の時間を使う——その体制づくりからお手伝いします。

分析結果を、現場にどう伝えるか

数字で候補を絞り込んでも、それを仕入・棚割りの判断に落とすのは現場の担当者です。分析結果を一方的に「この商品は死に筋だから切ります」と伝えると、現場の感覚と数字がぶつかり、次回から協力が得られにくくなります。

有効なのは、判断そのものより先に、数字の見方を共有することです。売上と粗利のマトリクス、交差比率の考え方を現場と一緒に見る場を作ると、「なぜこの商品が候補に挙がったか」を担当者自身が説明できるようになり、切る・残すの合意形成が早くなります。

分析の頻度を四半期に固定するのと同じように、結果を伝える場も定例に組み込むと効果が続きます。都度個別に説明していると、担当者ごとの理解にばらつきが出て、次第に運用が有名無実化していきます。

この論点の前段として得意先別の実質収益の出し方、次の一手として在庫の欠品予兆管理も参考になります。

売れ筋・死に筋を数字で継続的に把握する仕組みは、awai Compassのサービス詳細でご確認いただけます。

30分の無料相談を予約する自社の商品データでABC分析・交差比率がすぐ出せる状態か、データの現状整理から承ります。品揃え見直しの定例化についてもご相談ください。

よくある質問

Q. 売れ筋・死に筋分析は何から始めればいい?
A. 商品を売上や粗利の大きい順に並べるだけでも構造が見えます。ABC分析のように上位・中位・下位に分けるのが基本です。
Q. 死に筋はすぐ切るべきですか?
A. 数字だけで判断しないことです。集客用や定番補完など役割のある商品もあります。売上と粗利、役割を合わせて見ます。
Q. 感覚と数字がずれます。どちらを信じる?
A. まず数字で事実を確認し、そのうえで現場の感覚を突き合わせます。なんとなく売れているの検証が分析の出発点です。

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