公開日: 2026.07.11 / 最終更新日: 2026.07.11
Shopify BtoBの決済方法|請求書払い(掛け払い)の実装と費用【2026年版】
Shopify BtoB(卸売)で請求書払い(掛け払い)を導入する前に、社内で決めておくべき締め日・支払サイト・与信枠・入金消込の4論点と、標準機能・代行連携・基幹カスタムの費用目安(30万〜500万円規模)を整理します。具体的な決済代行アプリの比較は別記事にまとめています。
長く続けてきた卸取引をそのままShopifyのBtoB EC(企業間取引向けのネット注文の仕組み)に載せようとすると、多くの事業者が同じ壁にぶつかります。「決済がクレジットカードの前払いしか用意できない」という壁です。
一般の消費者向けECなら、カードで前払いしてもらうのが当たり前です。しかし卸・企業間の取引では、注文のたびにカードを切るという商習慣がそもそもありません。得意先の多くは、月末にまとめて締めて翌月に支払う——いわゆる「請求書払い(掛け払い)」を前提に発注しています。ここで「うちのECはカード前払いだけです」と言えば、これまで電話やFAXで問題なく発注してくれていた得意先が、EC上では発注してくれない、ということが起こります。
つまりBtoBのEC化では、見た目やカタログよりも先に「請求書払いに対応できるかどうか」が、使われるか放置されるかを分ける土台になります。この記事では、Shopifyで請求書払いを実現する道が実は複数あること、それぞれの向き・不向きと費用の目安、そして実装を頼む前に自社で決めておくべきことを整理します。
※この記事で示す費用は、要件によって幅のある目安レンジです。特定の会社の確定価格ではありません。実際の金額は、既存システムの状況や取引条件のばらつきによって変わります。
そもそも「請求書払い(掛け払い)」とは何を指すのか
請求書払いは、ひとことで言えば「先に納品し、あとでまとめて支払ってもらう」取引です。BtoBでは当たり前の慣行ですが、EC化するときには次のような要素を全部ひっくるめた仕組みとして考える必要があります。
- 締め請求(しめせいきゅう) — 注文のたびに請求するのではなく、たとえば「月末締め」でひと月分の注文をまとめて1枚の請求書にすること
- 支払サイト — 締めてから実際に入金されるまでの猶予期間(例:月末締めの翌月末払い=サイト30日)
- 与信(よしん) — 得意先ごとに「この取引先には、いくらまでなら後払いで卸してよいか」という上限枠を決めること。焦げ付き(未回収)を防ぐための、いわば信用の枠です
- 入金消込(にゅうきんけしこみ) — 入金があったときに「どの請求書に対する支払いか」を突き合わせて消し込む経理作業
一般消費者向けECの「カード決済」には、これらの概念がほとんど登場しません。だからこそ、BtoBの請求書払いをECに載せる作業は「決済ボタンを1つ足す」話ではなく、注文から請求・入金管理までの一連の業務をどう設計するかの話になります。ここを軽く見ると、EC化したのに結局は請求書を手作業でExcel管理する、という二重運用に陥りがちです。
Shopifyで請求書払いを実現する「3つの道」
Shopifyで請求書払いに対応する方法は、ひとつではありません。取引の複雑さと予算に応じて、大きく3つの道があります。難易度と費用は①→③の順に上がっていきます。
① Shopify標準の「支払期日」設定を使う(Payment terms)——Shopifyには、注文に対して支払期日を設定する仕組み(Payment terms=ペイメントターム/「○日以内に支払い」といった支払条件の設定)が用意されています。管理画面から発行する請求(ドラフトオーダー=確定前の下書き注文。担当者が内容を作って得意先に送る形の注文)に支払期日を付けて送る、といった運用が可能です。取引先が少なく、締めや与信の管理を人手でも回せる規模なら、まずここから始められます。追加のシステム投資を最小に抑えられるのが利点で、逆に、締め請求・与信枠・入金消込を自動でさばく仕組みは自前で工夫する必要があります。
② 請求書払い・与信請求代行のサービスと連携する——「与信の審査や、未回収リスクを自社で抱えたくない」という場合、請求書払いを代行するサービス(得意先の与信審査・請求書発行・入金管理・未回収の保証までを引き受ける外部サービス)とShopifyを連携させる道があります。得意先は請求書払いを選べて、事業者側は入金保証を受けられる、という分担です。導入時の設定や、既存の得意先マスタとの突き合わせに手間はかかりますが、与信と回収の負担を外に出せるのが特徴です(どのサービスが自社に合うかは、取引規模・手数料・保証範囲で変わるため、選定自体を相談段階で一緒に見極めるのが現実的です)。
③ 基幹・会計システムと連携したカスタム実装——取引先が多く、得意先ごとに締め日も支払サイトも掛け率も違う——そういう規模になると、ECの注文を既存の基幹システム(受注・在庫・請求を管理する社内の中核システム)や会計ソフトと連携させ、締め請求・与信・入金消込までを通しで回す作りが必要になります。ここは既存の卸業務の作り込み次第で難易度が大きく変わる領域で、Shopifyと基幹システムを連携する方法そのものの設計とセットで検討することになります。手間はかかりますが、EC化しても経理が二重作業にならない状態を作れるのが、この道の狙いです。
どの道が正解かは、「取引先が何社あるか」「締め・支払条件がどれだけばらついているか」「与信リスクを自社で持つか外に出すか」で決まります。いきなり③を目指すのではなく、①や②から始めて段階的に育てる進め方も十分に選べます。
実装を頼む前に「決めておくべき」4つのこと
請求書払いは、決めごとが曖昧なまま作り始めると、後から手戻りが増えます。発注する前に、社内で次の4点の現状を棚卸ししておくと、見積りも設計もぶれにくくなります。
- 締め日のパターン — 全得意先が月末締めで揃っているか、「20日締め」など取引先ごとにばらついているか。ばらつきが多いほど設計は複雑になります
- 支払サイト — 翌月末なのか、翌々月なのか。得意先ごとに違う場合、その一覧が今どこにあるか(Excelか、基幹システムか、担当者の頭の中か)
- 与信枠の考え方 — 得意先ごとに後払いの上限を設けているか。設けているなら、その基準を誰がどう管理しているか
- 入金消込の現状 — いまの入金確認・消込は誰が何を使ってやっているか。ここをECとどこまでつなぐかで、③の作り込みの深さが変わります
これらは「システムの話」に見えて、実は自社の卸業務そのものの棚卸しです。多くの場合、EC化の相談は「まずこの4点の現状を一緒に整理する」ところから始めるのが、結果的にいちばん近道になります。
費用の目安と、小さく始める考え方
請求書払いへの対応は、上の①②③のどこから入るかで費用が大きく変わります。awaiのShopify構築・改修では、規模に応じて次のレンジを目安にしています(いずれも要件により変動する目安レンジで、確定額ではありません)。
- 小規模(30〜50万円) — 標準機能の範囲で、支払期日付きの注文運用を整えるところから始めるケース
- 中規模(80〜150万円) — 請求書払い・与信請求代行サービスとの連携や、既存ECの改修を伴うケース
- 大規模(200〜500万円) — 基幹・会計システムと連携し、締め請求・与信・入金消込までを通しで設計するケース
BtoBの見積フローと同じく、請求書払いも「全部を一度に作らないと使えない」ものではありません。まずは主要な得意先だけ標準機能の支払期日運用で回し、手応えを見てから連携やカスタムに広げる——という段階導入がしやすい領域です。見積フローとあわせて設計したい場合は、Shopify B2Bに見積フローを組む考え方もあわせて検討すると、注文から請求までの流れを一本で描けます。②の請求代行サービスや①の帳票発行の具体的なアプリ名(NP掛け払い・Paid・Quick Order Printerなど)で比較したい場合は、Shopifyで掛け払いを導入する3つの方法とアプリ比較もあわせてご覧ください。
なお、Shopify自体の通常プランでBtoB機能が使える範囲も年々広がっています。自社がどのプランで卸機能を始められるかの見立てと、請求書払いの実現方法は、セットで考えると無駄がありません。
awaiでは、Shopifyの自社EC構築・改修から基幹連携までを一気通貫で対応しています。「請求書払いに対応できるか不安」という段階でも、まずは自社の締め・支払条件・与信の現状を一緒に棚卸しし、どの道から始めるのが現実的かを整理するところからお手伝いできます。
自社の卸取引が「請求書払いのEC化」に向くか、30分で見立てます締め日・支払サイト・与信・入金消込の現状を伺い、Shopifyの標準機能・サービス連携・基幹連携のどこから始めるのが現実的かを、無料の30分相談で整理します。よくある質問
- Q. そもそもShopifyで請求書払い(掛け払い)はできますか?
- A. はい、できます。方法は一つではなく、Shopify標準の支払期日設定(Payment terms)を使う道、請求書払い・与信請求代行のサービスと連携する道、基幹・会計システムと連携してカスタムで作り込む道の大きく3つがあります。取引先の数や締め・支払条件のばらつき、与信リスクを自社で持つかどうかで、どの道が向くかが変わります。
- Q. カード決済と請求書払いは、両方用意できますか?
- A. 両立できます。新規の小口取引先にはカード前払い、継続的な卸の得意先には請求書払い、というように取引先や取引条件で決済手段を出し分ける設計が可能です。どの得意先にどの決済を出すかの線引きも、実装前に決めておきたいポイントの一つです。
- Q. 請求書払いを入れると、経理の作業は増えますか?減りますか?
- A. 設計次第です。ECと請求・入金管理がつながっていないと、EC化したのに請求書を手作業で管理する二重運用になり、かえって手間が増えることがあります。逆に、締め請求・入金消込まで含めて基幹・会計システムと連携させれば、これまで手作業だった請求まわりを一本化しやすくなります。どこまでつなぐかは予算と現状に応じて段階的に決められます。
- Q. 費用と期間の目安を教えてください。
- A. 標準機能の範囲で支払期日付きの運用を整えるところから始めるなら小規模帯(30〜50万円)、請求代行サービス連携や既存EC改修を伴うと中規模帯(80〜150万円)、基幹・会計連携まで通しで設計すると大規模帯(200〜500万円)が目安です。いずれも要件により変動するレンジで、確定額ではありません。まずは30分の無料相談で自社の締め・支払条件の現状を伺い、どの道から始めるのが現実的かをお伝えします。
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