公開日: 2026.03.27 / 最終更新日: 2026.03.27

受注事務の採用難に、増員以外の答えはあるか

受注事務の求人に応募が来ない今、増員・派遣・BPO・自動化の4つの選択肢をコストと持続性で比較。採用の前に業務量そのものを減らすという結論と、その判断基準を先に示します。

受注事務の人手不足に対する増員・派遣・BPO・自動化という4つの選択肢の分岐を示した図

結論から書きます。受注事務の欠員は、人で埋める前に業務量そのものを減らすのが先です。判断基準はひとつ。「その仕事は、判断が必要な仕事か、転記の仕事か」。受注事務の作業時間の多くはFAXや電話の内容を基幹システムへ転記する作業で占められており、転記は今の技術で大部分を自動化できます。

増員が悪いのではありません。順番の問題です。転記だらけの業務のまま人を採れば、採用コストと教育期間をかけて「機械にできる仕事」を新人に教えることになります。しかも受注事務の人件費は月25〜35万円程度が相場観で、これは毎月・毎年続く固定費です。まず業務を軽くし、それでも足りない分を人で埋める。この順番が合理的です。

なぜ受注事務の採用はここまで難しくなったのか

生産年齢人口の減少という大きな流れに加えて、受注事務という仕事の中身が採用市場で不利になっています。FAXの解読、電話の聞き取り、基幹システムへの手入力。求職者から見れば「覚えることが多いのに評価されにくい仕事」に映ります。私が業務改善の現場で聞く退職理由も、待遇より「ミスが許されない緊張が続くのに、仕事の価値が伝わらない」が目立ちます。

つまり採用難は、募集の出し方の問題である以前に、業務設計の問題です。仕事の中身を変えない限り、採れても定着しない構造が続きます。

4つの選択肢をコストと持続性で比べる

欠員への打ち手は実質4つです。それぞれの性質を並べます。

  • 正社員の増員:月25〜35万円程度+採用費・教育期間。属人化が再生産されるリスクは残る
  • 派遣・パート:立ち上がりは速いが、例外の多い受注業務は習熟に時間がかかり、入れ替わりのたびに教育が発生
  • BPO(受注業務の外部委託):業務ごと外に出せるが、取引先ごとの例外ルールの引き継ぎが重く、委託費は業務量に比例して増える
  • 自動化(AI-OCR・音声認識+人の確認):初期の設計負荷はあるが、処理量が増えても費用が比例して増えにくく、業務の記録が社内に残る
増員・派遣・BPO・自動化の4案を立ち上がり速度・継続コスト・属人化リスク・繁忙対応の4項目で比較した表
4つの選択肢の比較。単独ではなく「自動化+最小限の人」の組み合わせが現実解

見落とされがちな比較軸が繁忙期への耐性です。人による処理は繁忙期に残業か増員でしか対応できませんが、自動化された処理は受注が1.5倍になっても確認作業が増えるだけで済みます。卸売業のように季節波動の大きい業種ほど、この差は効いてきます。

4案の「隠れコスト」と向き不向き

4つの選択肢は、月々の費用だけを比べても判断を誤ります。それぞれに表に出にくい「隠れコスト」があり、自社の状況によって向き不向きが分かれるからです。どの案がどんな会社に合うかを整理します。

  • 正社員の増員が向くのは、判断業務の比率が高く受注量が今後も安定して伸びる会社。ただし採用費と社会保険、戦力化までの3〜6ヶ月の教育期間が隠れコストになる
  • 派遣・パートが向くのは、産休の穴埋めや一時的な繁忙への対応。恒常的な戦力にすると、入れ替わりのたびに例外ルールの教育をやり直すことになる
  • BPO(外部委託)が向くのは、業務が標準化済みで例外の少ない会社。取引先ごとの例外の引き継ぎが重く、社内にノウハウが残らない点が隠れコスト。委託費も業務量に比例して増える
  • 自動化が向くのは、転記の比率が高く季節波動の大きい会社。初期の設計負荷はかかるが、確認役として最小限の人を残せば処理量が増えても費用が比例しにくい

実際にはどれか一つに寄せるより、チャネルや業務ごとに割り当てるのが現実的です。判断の重い取引先対応は人に残し、転記・入力は自動化に移し、突発的な繁忙だけ派遣で吸収する。それぞれの強みが効く場所に配置するという発想に切り替えると、採用市場との消耗戦から抜けられます。

「自動化で人を減らす」ではなく「採らずに済む体制を作る」

誤解のないように書くと、自動化しても人はゼロになりません。AI-OCRや音声認識の読み取り結果は人が確認する前提ですし、取引先とのやり取りや例外対応は人の仕事として残ります。目指すのは「事務3人分の転記作業を、1人の確認作業に圧縮する」体制です。欠員が出ても補充せずに吸収できる。採用市場と戦わなくてよくなること自体が、この打ち手の最大の価値です。

たとえば受注入力に1日6時間かかっている事務を想定すると、確認中心の体制に変われば同じ業務が2時間前後に収まる余地があります。浮いた4時間は、請求業務の巻き取りや取引先フォローといった、これまで手が回らなかった仕事に充てられます。人が余るのではなく、仕事の質が変わるのです。

判断の手順——求人票を書く前にやること

受注事務の業務を「判断が必要」「転記・定型」に仕分けし、転記側の時間を合計してください。それが月40時間を超えているなら、増員より先に自動化を検討する水準です。求人票の作成はその後でも遅くありません。むしろ「入力作業はシステムがやる職場です」と書ける方が、採用でも有利に働きます。

採用支援業者が言わない、3つの本音

人手不足の相談窓口では出てこないが、打ち手を選ぶ前に知っておくべきことを正直に書きます。

  • 「いい人が採れれば解決する」は幻想に近い。採れても、転記中心の業務設計のままなら同じ理由でまた辞める。採用は業務設計を直した後の問題で、順番を逆にすると採用費と教育3〜6ヶ月をドブに捨てることになる
  • BPO(外部委託)は「丸投げで楽」に見えて、例外ルールの引き継ぎで社内にノウハウが残らない。委託費は業務量に比例し、繁忙期ほど高くつく。標準化されていない卸の受注業務には向かないことが多い
  • 自動化は「人を減らす道具」として売られがちだが、そう入れると現場が抵抗して定着しない。正しくは「採らずに済む体制」を作る道具で、欠員が出ても補充せず吸収できることが本当の価値。人員削減を目的に掲げた瞬間、導入は失敗し始める

awai Core(FAX・電話受注のAI自動化)とawai Build(基幹システム連携)は、この「採らずに済む体制」を設計するサービスです。料金は先に決めず、御社の受注業務を無料トライアルで確認し、削減できる事務コストを算出したうえで、そこから逆算してご提案します。欠員が出てから慌てるより、今の体制が回っているうちに検討を始めるのが一番安く済みます。受注がデータになれば、取引先別の採算や受注傾向を経営数字として見るawai Compassにもつながり、守りの人手不足対策が攻めの一手に変わります。業務自動化のAI開発を委託する前に確認しておきたい進め方・費用感も、あわせて参考にしてください。

本記事とあわせて、受注業務の属人化リスク受発注システムの選び方もご覧いただくと全体像がつかめます。

FAX・電話受注の自動化で対応できる範囲は、awai Coreのサービス詳細でご確認いただけます。

御社は「増員より先に自動化」の水準か、30分で仕分けします受注業務の「転記時間」が月何時間あるかの仕分けから、増員・派遣・BPO・自動化のどれが御社に合うか、増員せずに回る体制の設計まで、実データに沿ってご相談に乗ります。

よくある質問

Q. 人を雇うのと自動化、どちらが得ですか?
A. 受注量が今後も続く・増えるなら、採用より自動化のほうが中長期のコストとリスクを抑えられます。判断は削減できる作業量の試算から始めます。
Q. 自動化すると今の担当者は不要になりますか?
A. 定型作業を減らし、担当者を確認・例外対応・得意先対応など人にしかできない仕事に振り向けるのが目的です。人員削減が主目的ではありません。
Q. 繁忙期だけ増える受注にどう対応しますか?
A. 自動化した処理は受注量が増えても比例して人手が増えないため、繁忙期の残業や増員を吸収しやすくなります。

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